【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)14日(日本時間15日)=四竈衛、斎藤庸裕】大谷翔平投手(29)を獲得したドジャースが、投打の大黒柱となる大谷を軸に、「常勝軍団」の構築を目指す姿勢を明かした。今回の契約で大谷が異例の「後払い」を提案したのも、積極補強の手を緩めず、常に世界一を狙うため。今後は、現在交渉中の山本由伸投手(25)だけでなく、今永昇太投手(30)にもアプローチするなど、日本とのパイプをさらに強めていくことになりそうだ。

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大谷と並んだステージ上では笑顔が絶えなかったデーブ・ロバーツ監督の表情が、大谷退場後にキリリと引き締まった。大谷加入を「我々が夢見てきたこと」と表現。さらに、来季以降の重圧について意を決するかのように言った。「最大限に期待されるのは分かっている。ただ、ドジャース野球の歴史にとってグレートな日となった。我々はスポーツ界の中心にいる」。メジャー球界だけでなく、スポーツ界の中心。世界最高のアスリート大谷が先頭に立つ、ド軍の「常勝軍団宣言」だった。

最終的な条件交換は8日の午前中だった。翌9日、大谷が自らのインスタグラムで正式発表する直前、息子のサッカーの試合中に吉報を耳にしたフリードマン編成本部長は、喜びのあまり「(代理人の)ネズ(バレロ氏)が何を言ったのか覚えていない」ほど興奮したという。

その一方で、将来的なビジョンの重要性も再認識した。会見で大谷が何度も口にした「同じ方向」こそ、「常勝軍団」であり続けようとする姿勢だった。年俸総額の97%を「後払い」にする異例の提案を、同本部長は「翔平にとって重要なことだった」と真正面から受け止めた。「今後、いかなる場面でも、いい選手を補強していく」。大谷の「僕は全然、後払いでいい」との申し出に応えるかのように、すでに12日(同13日)には山本とドジャースタジアムで直接交渉。お披露目前の大谷だけでなく、ベッツ、フリーマン、スミスの4選手にサポート役を依頼し、山本に猛プッシュをかけた。

今オフ、先発補強を掲げるド軍は左腕の今永にも強い興味を示すなど、大谷の存在感に加え、今後も日本との長い歴史、強いコネクションをフル活用していく見込みだ。今季まで11年連続ポストシーズンに進出してきたとはいえ、世界一はコロナ禍で短縮された20年の1回だけ。「ここにいることが好きだし、我々は、ただ勝ちたいだけなんだ」。大谷の言葉を言い換えるかのように、ロバーツ監督が熱い思いを口にした。【四竈衛】

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