【トロント(カナダ・オンタリオ州)28日(日本時間29日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)が、チームの同一カード3連勝に導いた。ブルージェイズ戦に「3番DH」で出場し、3安打2打点。7回の第4打席では左越えの28号2ランを放った。終盤での貴重な追加点となったアーチは10戦ぶりの1発。前日は先発投手で今季最多の109球を投げ、7回2安打無失点で11勝目をマーク。シーズン終盤、かつ登板翌日の疲れも一掃する活躍で、ア・リーグ東地区でプレーオフ進出を争うブ軍相手に今季3度目のスイープを決めた。

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大谷は、やっぱり登板翌日に強かった。リードを3点に広げた直後の7回2死二塁。これ以上、失点を重ねたくないブ軍は左打者を相手に左腕のメイザを投入。この点差で終盤の反撃につなげたい-。そんな思惑を粉々に打ち砕いた。6球目、外角寄りのツーシームを捉えた。角度29度で上がった放物線は左翼フェンスを越える28号2ラン。ネビン監督代行は「あのホームランが、流れをつかむのに最も大きかった」とたたえた。

前日、大谷は今季最多の109球を投じた。その影響を感じさせないのは今に始まったことではない。昨年の登板翌日は打率2割9分、9本塁打、19打点。今年も同3割3分3厘、6本塁打、9打点と二刀流で高いパフォーマンスを維持する。この日も第1打席から、いきなり2打席連続安打。ブ軍には、5月末の4連戦で初戦に先発して黒星を喫し、そのまま4連敗でスイープされた。やられたらやり返す。プレーオフ進出を争うブ軍にとっては借金18のエ軍相手に痛い同一カード3連敗。大谷のトドメの1発は、“倍返しのスイープ弾”となった。

今季は量産こそないが、後半戦で失速した昨季に比べ、安定してアーチを重ねている。前日、今季前半戦の打撃について「結構いいバッティングが出来ていても、ライナーアウトが多かった。長打になる確率の高い打球がアウトになる」と振り返った。その一方で、打率3割3厘の8月は「間に飛んで抜ける打球が多い」と感触を明かした。打撃自体には、さほど差がないと実感するが、裏を返せば好不調の激しい波が少ない証しともいえる。第4打席での1発は、持ち味発揮の逆方向への力強い打球だった。

日本人初の2年連続シーズン30発まであと2本。本拠地へと戻り、今週はア・リーグ東地区と西地区の首位、ヤンキースとアストロズの連戦が待つ。ネビン監督代行は大谷の逆方向への打撃に「いい兆候。どの球場であっても、十分に力強く打球を飛ばせる」と目を細めた。カナダ・トロントでの初登板から二刀流の本領を発揮。弾みをつけ、強豪つぶしにかかる。

○…ネビン監督代行が大谷の次回登板について、直近の中5日から中6日へ変更することを検討している。エンゼルスは来週から3週間、木曜日に試合が組まれておらず、次回を中5日で9月2日(日本時間3日)アストロズ戦としても、その次の登板はいずれにしても中6日とならざるを得ない。同監督代行は「彼にも(今回の登板間で)もう1日(調整期間を)与えるか、話し合って考える」。次回登板を中6日にしても、残り6戦には登板できる計算で、あと34イニングとしている規定投球回には到達が可能。

○…捕手スタッシが、前日の大谷の好投をたたえた。序盤はツーシームを使い、「すごくいい動きをしていた」と評価。今季ここまで女房役としてバッテリーを組み、11勝を積み重ねた。「レベルの高い球種があって、エリートクラスの質。再現性が保てるように、登板間で何をすべきかちゃんと理解している」と改めて称賛した。