Rabu, 12 Januari 2022

青森山田の高校サッカーV プレミアリーグの意義再認識(写真=共同) - 日本経済新聞

1月10日に決勝(東京・国立競技場)が行われた全国高校サッカー選手権で青森山田が3度目の頂点に立った。節目の第100回大会を制した青森山田も、敗れた大津(熊本)も、ともに「高円宮杯U-18プレミアリーグ」に属するチームだった。プレミアという名称のとおり、ユース年代最高峰のこのリーグで磨かれないと「高校日本一」になるのは難しい。そんなことが、あらためて示されたように思う。

短期決戦型でなく実力伯仲のリーグ戦形式に

プレミアリーグは2011年にスタートした。夏のインターハイ(高校総体)や冬の選手権はノックアウト方式で、初戦で負けたりするとそれっきりになって強化に結びつきにくい。そんな短期決戦型よりも、Jクラブなどのユースチームと高体連チームの垣根を取り払い、年間を通して実力伯仲のリーグ戦形式で競わせた方が養われる地力がある。そういう思想の下に制度設計され、始まったのがプレミアリーグであり、その下部に位置するプリンスリーグだった。

プレミアリーグは20チームを東と西に10チームずつに分け、それぞれでリーグ戦を行い、チャンピオン同士で争うファイナルも用意される。その下のプリンスリーグは全国を9ブロックに分けて行い、さらにその下には各都道府県単位のリーグもあってピラミッドを構成する。成績に応じて各リーグ間で昇降格があるから、リーグを構成する顔ぶれは固定されていない。

21年度でいえば、プレミアリーグ東は青森山田、千葉の市立船橋、流経大柏の高体連3チームと浦和、大宮、柏、FC東京、横浜M、横浜FC、清水のJリーグ7チームという顔ぶれだった。青森山田は並みいるJクラブのユース勢を押しのけて東の王座に就いた。コロナ禍で消化した試合数にばらつきはあったものの、プレミアで16戦した青森山田に土をつけたのは柏と清水だけ。その前に夏のインターハイも制していたから今回、冬も勝って「3冠達成」「史上最強」と、もてはやされたのである。

ちなみに21年度のプレミアリーグ西の王者はJリーグの広島だった。こちらはJリーグ勢の磐田、名古屋、京都、G大阪、C大阪、神戸、鳥栖、高体連の東福岡、大津を従えての優勝だった。

21年度の高校サッカーは青森山田が「敵なし」の状況をつくりだしたが、1年を通して手ごわい相手とプレミアリーグで戦うメリットは高校サッカー全体に波及していると思う。熊本県勢として初めて決勝に進んだ大津もプレミア西の4位だった。ハイレベルなリーグという〝日常〟があり、そこで切磋琢磨(せっさたくま)すれば、おのずと個の力もチーム力も上がっていく。高体連のチームには「全国優勝したければ、まずプレミアを目指せ」と言いたくなるほどだ。

プレミアにいると、日常的にJリーグのユース勢と腕比べができるから、それがセールスポイントになって、いい選手も集まりやすい。いい素材が集まれば、それはチーム力に反映され、それで結果が出れば、さらにいい選手が集まる。そういう好循環も回しやすくなる。21年度の青森山田はその究極の形を示したように思う。

チーム数拡大、中間層が厚いリーグに変革

しかし、ずっと青森山田の「1強」が続くようでは、高校サッカーに進化はないともいえる。日本サッカー協会(JFA)は22年4月に始まる新年度から東西10チームずつだったプレミアリーグを12チームずつに変革する。夏のインターハイや冬の選手権の予選があって日程調整は大変だったが、試合のインテンシティー(強度)が落ちる夏場の試合は避けながら、林義規・JFA副会長を中心に、チーム数を増やしても対応できるスケジュールを新年度は何とか組めた。

チーム数を増やす理由はいろいろあるが、私はこれでプレミアリーグの中間層に厚みができると思っている。シーズン途中で優勝争いと残留争いに二極化するより、上にも下にも絡む中間層が厚いリーグの方が、より競争は激しくなると思うのだ。

21年度のプレミアリーグは東が浦和、西が京都が最下位となってプリンスリーグに降格した。一方、全国9ブロックのプリンスリーグで上位になり、昨年12月のプレーオフ(参入戦)を勝ち抜いて、22年度からプレミアリーグに挑むのは群馬の桐生第一と前橋育英、静岡学園、履正社(大阪)の高体連勢とJリーグの川崎、JFAアカデミー福島の6チームだ。J1を席巻し、育成力も評判の川崎が今季のプレミアにどんな風を吹かせるのか、すごく楽しみである。

プレーオフでは高体連チームの粘り強さが目をひいた。敗れはしたが、旭川実業(北海道)、仙台育英(宮城)、尚志(福島)、帝京長岡(新潟)、米子北(鳥取)、阪南大高(大阪)、神村学園(鹿児島)も健闘した。

思うに、冬の選手権で静岡学園と前橋育英は準々決勝で姿を消したが、そのことと、この両チームがプレミアリーグのプレーオフを戦ったことは微妙に関係していると個人的には思う。それくらいプレーオフのレベルは高く、ワンプレー、ワンプレーに神経をすり減らす戦いの連続だった。桐生第一が4-3で帝京長岡に逆転勝ちした試合などは壮絶の一言。敗れてピッチに倒れこむ姿を見ると、選手がプレミアで戦うことの価値を一番分かっているとも感じた。

プレミアリーグは地域性を考慮せず、実力本位で顔ぶれは決まる。新シーズンでいえば、北海道、北信越、四国のチームはいない。一方で関東勢は24チーム中10チームを占める。このあたりの偏りは「公平」と「平等」について考えさせられる。

インターハイや冬の選手権など高体連の大会なら47都道府県すべてから代表を出せるようになっている。「平等」であることにウエートを置くからだろう。一方、プレミアリーグは千葉勢が3チームいても、茨城や栃木のチームがいなくても気にかけない。実力にしたがって地位を得るという「公平」にウエートを置くからだ。

平等と公平の問題は悩ましい。高体連の大会は「平等」に重きを置くと記したが、青森単位で考えると、青森山田の強さは群を抜き、冬の選手権でいえば、今回で25年連続27回目の出場だった。この四半世紀、青森山田だけが選手権に出ている。他の学校はノーチャンス。それはそれで仕方ないのだが、例えば、冬の選手権の出場チーム数を増やし、青森山田のようなプレミア勢にワイルドカードを与えれば、青森の他の学校にもチャンスがあるのになあと思うことがある。

冬の選手権開催中の1月7日、高校サッカーの名伯楽だった小嶺忠敏先生(76)が亡くなられた。訃報に接したとき、言葉を失った。

長崎・国見時代に成し遂げた冬の選手権6度の優勝は偉業としかいいようがない。その門下から多くの選手も羽ばたいた。私が率いた04年アテネ五輪のチームにも大久保嘉人、徳永悠平、平山相太と3人も国見の選手がいた。指導者としては三浦淳寛が今、神戸を率いて頑張っている。私も小嶺先生からいろいろなことを教わった。心からご冥福をお祈りしたい。

小嶺先生は象徴的な例だが、高校サッカーの指導者は1人の監督が1つのチームを長く見ることが多い。Jクラブはその点、ユース部門の指導者が頻繁に変わることが多い。プレミアリーグの高校サッカー部の健闘を見ていると、この違いは一考に値するように思われる。

(サッカー解説者)

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2022-01-12 20:00:00Z
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