たくさんの取材の中で忘れられないのは何と言っても菊花賞優勝の一夜明けですね。取材に答える清山助手が抑えながらもワクワクしている様子が手に取るように伝わりました。
「春シーズンを諦めて休養をさせて成長を促すという英断をし、7月に500万の平場から秋を目指しました。まだ、成長していく過程の中で、条件をひとつひとつクリアしていかなければなりませんでしたね。そして、神戸新聞杯には2着にきたけれど、本当にGIに通用するほど成長しているのかを不安に思いつつ、これまでの経験値からキセキから感じるポテンシャルの高さを信じてレースに臨みました。
この馬の完成はまだまだ先だと思います。現段階では何パーセントまで来たのか、という数値はつけられません。でも、そんな状況の中でこちらが思う以上に信じられないほどの結果を出してくれました。あの子の持って生まれた力と頑張りには感謝しかないですね」
この写真はその時のもの。清山助手がキセキを「ウオッカも含めて、過去に乗った馬の中で3本の指に入るほどの資質を秘めた馬」と評し、大事な大事な宝物、というかんじで見つめていた姿が忘れられません。
現在キセキを管理している辻野師はキセキの成長過程で自らも助手から調教師へ転身し、最後は管理馬として送り出します。
「菊花賞以来勝ち星から遠ざかっている現状でこれだけの支持をいただいているというのはすごくありがたいです。その分、期待に応えられていないという責任を感じてはいるのですが、これが引退レースになるのでその走りを目に焼き付けたいという気持ちでいます。GIですし相手は間違いなく強い馬たちがしっかりした状態で出てくると思うので、今回は大変なレースになると思いますが、何とかこの馬の力を出し切ってくれれば、という思いです」
あれから、いろんなことがありました。泥んこ馬場の菊花賞を制した後、海外遠征もあったし、時に目の周りを真っ黒にしながら調整していることも…。
最近は父のルーラーシップに似たのか、ゲートで難しい面を見せるようになっていますが、どうかラストランの有馬記念では父のような大出遅れだけは似ないで欲しいです。そして、あの出遅れがなければ勝っていたよね、と思わせたほどの目の覚めるような決め脚だけは再現して欲しい。と我儘な願望を抱きながら有馬記念を見守りたいと思います。
(取材・文:花岡貴子)
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiMmh0dHBzOi8vbmV3cy5uZXRrZWliYS5jb20vP3BpZD1uZXdzX3ZpZXcmbm89MTk3ODgx0gEA?oc=5
2021-12-25 10:14:00Z
1195932131
Tidak ada komentar:
Posting Komentar