F1公式バーチャルレースF1バーチャルGPが順調に回を重ねている。F1公式ビデオゲーム『F1 2019』を使用したこのEスポーツイベントは2020年4月19日に第3戦中国が開催され、現役F1ドライバー、セレブリティ、ゲーマーを含む20人が参加。
レッドブル・ホンダF1はアレックス・アルボンが2位に入る健闘を見せた。また、ティボ・クルトゥワ(レアル・マドリード)をゲストドライバーとして参加したことも話題になった。
尚、第1戦バーレーンはレッドブル・ホンダF1のフィリップ・エングが素晴らしいパフォーマンスで4位に入り、第2戦オーストラリアはアルボンがワールドカップを制した経験を持つクリケットイングランド代表ベン・ストークスと共にバーチャルデビューを果たした。
F1バーチャルGPは当然ながら実在するサーキットでは開催されていないが、このシリーズは毎回各チームが優勝を狙っているため現実世界と同じように非常に厳しい戦いとなっている。
では、F1チームはこのユニークなシリーズのためにどのような準備をしているのだろうか? アルファタウリ・ホンダF1のデジタル部門を率いるディエゴ・マンドルフォが、デジタルパドックの内情を語った。
実現までの経緯
「ゲーミングコミュニティは常に動いていますし、シミュレーションレーシングシーンも同じです。オーストラリアGPの中止から数日後にF1側から全チームにeスポーツプロジェクトの連絡があり、私たちはすぐに参加を決めました」とディエゴ・マンドルフォは語る。
「どのチームもeスポーツプログラムを独自に用意していたので、すべてのプロセスがスムーズに進行しました。ですので、あとは3月22日の開幕戦バーレーンを問題なく開催できるようになるべく早く全チームをまとめるだけでした」
ディエゴ・マンドルフォの話ぶりは、現実からバーチャルへの移行がシームレスだったように思わせるが、言うまでもなく、ドライバーたちのロジスティック上の問題がいくつか生まれた。
しかし、ディエゴ・マンドルフォは全ドライバーがレースに必要なシミュレーション機材をすでに自宅に所有していたと説明を続けている。F1バーチャルGPでは、全ドライバーが自宅から参加し、ロンドンのeスポーツ施設Gfinity Arenaから無観客実況配信するというフォーマットが採用されている。
チームの役割
このようなユニークなイベントフォーマットはひとつの疑問を生み出す。ドライバーの他にどんなチームスタッフが何人必要になるのだろうか?
ドライバーは全員自宅でプレイしているためチームからのサポートは最低限で済むはずだ。しかし、実際はそうではない。F1バーチャルGPに参加するためには多大なチームワークが必要になる。ディエゴ・マンドルフォが話を続ける。
「他のF1関連イベントと同じで、常にチーム全体でドライバーをサポートできるように準備しています。各チームのeスポーツプログラムマネージャーは、戦略を含むプレイ自体を確認しつつ、ソーシャル・デジタルメディア上の話題性も確認しています」
「このF1バーチャルGPも現実世界のF1と同じく複数の団体が絡んでいます。F1(ライツホルダー / 主催)、Gfinity(ロジスティック / eスポーツイベント面からこのシリーズを管理・運営。統括・プロモーター的役割)、Codemasters(ソフトウェアサプライヤー)、そして各F1チームのeスポーツチームです」
「ですので、eスポーツマネージャーは所属ドライバーおよび全団体とレース前、レース中・レース後に連絡を取っていく必要があります。そしてこのシリーズのルールや目的に沿いながらできるだけスピーディにプロセスを進めていく必要もあります」
アルファタウリ・ホンダF1のeスポーツチームは2018シーズンと2019シーズンのF1 Esports Pro Seriesに参戦していた。
2020シーズンも例年と同じく9月開幕が予定されているこのシリーズでは、世界最速のeスポーツF1レーサーたちがしのぎを削っている。つまり、アルファタウリ・ホンダF1のeスポーツチームはそれなりの経験を積んでいるのだが、F1バーチャルGPはこれまでとは勝手が多少異なる。
「F1バーチャルGPは中止・延期になった現実世界のF1レースの代替という位置づけです。つまり、このシリーズは現実世界のF1レースを楽しんでいるファンを楽しませる必要があります」
「現役ドライバーや他のスポーツのプロアスリート、セレブリティが参加しているのはこれが理由です。バラエティ豊かなグリッドを用意することでファンを楽しませようとしているのです」
「さらに言えば、eスポーツのプロドライバーはこのシリーズには速すぎます。彼らはF1バーチャルGP終了後に開催されるプロレースに参加する予定です」
厳しい戦い
バーチャルよりも現実のレースに慣れているドライバーとチームが参加しているF1バーチャルGPは、通常のeスポーツイベントよりも少し激しさに欠けると言えるかもしれない。
しかし、ディエゴ・マンドルフォはF1バーチャルGPのレースも現実世界と同レベルの厳しさだとし、「もちろん、気楽に観戦できる楽しいイベントですが、それでもファンが求めている “本気の競争” になっています」
また、ディエゴ・マンドルフォはF1バーチャルGPにはユニークなメリットがあるとし、現実世界のレースを戦えないドライバーとチームのコンディションを保つ助けになるとしている。
そのひとつの理由として、現実とバーチャルのF1マシンのセットアップに数多くの共通点があることが挙げられる。2019シーズンにチーム(当時はスクーデリア・トロロッソ)のeスポーツドライバーとエンジニアを集めてヒアリングを行ってそれらの共通点を発見したディエゴ・マンドルフォは、次のように続ける。
「私たちはレースで競い合っているので、常にベストを尽くしたいと考えています。F1バーチャルGPはそんな私たちをレーストラックに留まらせてくれる素晴らしいアイディアです。また、自宅にいる世界中の人たちにエンターテインメントを提供できるというメリットもあります」
「メジャースポーツとマイナースポーツのイベントが軒並みキャンセルか延期になっていますので、ファンの観戦スケジュールとメディアコンテンツの両方に穴が空いています。eスポーツはその2つの穴を埋められる優秀なチャンス&アセットなのです」
では、F1バーチャルGP独自のチャレンジはどこにあるのだろうか? ディエゴ・マンドルフォはeスポーツとしてのF1の規模とリアルさがこのイベントの成功に役立っていると強調する一方、修正・改良できる部分はまだ残っていると続けている。
「eスポーツとしてのF1は巨大な氷塊の一部でしかありません。もちろん、シミュレーションレーシングシーンは壮大なプランを用意していますし、急成長を遂げています。ですが、ストラテジー系、スポーツ系、ウォーゲーム系、ファンタジー系などを含むeスポーツ全体から見れば、まだまだニッチなシーンです」
「また、バーチャルと現実のF1ファンは必ずしも一致しません。それぞれ異なるファンを抱えていますし、この点は私たちも十分認識しています」
「ですが、eスポーツとしてのF1をより “現実” に近づけていけば、イベントのクオリティは高まっていくでしょうし、ファンからのフィードバックも増えていくでしょう」
最後に、ディエゴ・マンドルフォはレースフォーマットを問わないアルファタウリ・ホンダF1の専心度とプロ意識の高さを次のように強調している。
「F1の世界ではすべてを正しく進めていく必要があります。そしてそれこそ私たちがやっていることです。私たちは現実のF1レースで採用しているプロフェッショナルなアプローチをeスポーツイベントとF1バーチャルGPに持ち込んでいます」
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiLGh0dHBzOi8vZjEtZ2F0ZS5jb20vYWxwaGF0YXVyaS9mMV81NjEzMi5odG1s0gE1aHR0cHM6Ly9mMS1nYXRlLmNvbS9hbHBoYXRhdXJpL2YxXzU2MTMyLmh0bWw_bW9kZT1hbXA?oc=5
2020-04-26 11:25:15Z
CAIiEM0UbOh1-ZBQzyCeCN-VMNgqGQgEKhAIACoHCAow0fONCzDyzKADMK6aqgY
Tidak ada komentar:
Posting Komentar