スーパーアグリF1チームは、元F1ドライバーの鈴木亜久里が発足。ホンダから技術面・資金面のバックアップを受け、2006年シーズン開幕戦よりF1参戦を開始した。
初マシンとなる『SA05』は、メルボルン空港で展示されていたものや、ミナルディオーナーのポール・ストッダートから買い取った4年落ちのマシンであるアロウズ・A23のシャシーをベースとしたものであり、動く状態にするのも奇跡のような代物だった。
そして、2007年に投入されたのが『SA07』。本田技術研究所と協力して製作された新型マシンは、ホンダF1の2006年マシン『RA106』に酷似。ホンダがRA106の“知的財産権”をPJUUに譲渡してそれをスーパーアグリが使用することでレギュレーション違反を回避しようとしたが、後にカスタマーシャシー問題に発展する。
これに下位チームのスパイカーは黙っておらず、オーストラリアGPの予選直後に異議申し立てを行い、訴訟に踏み切った。そして、アメリカGP中のミーティングにて、バーニー・エクレストンから“下位3チームはシーズン終了後に受け取るであろうTV放映権利等、分配金をプールし、平等に分け合う”という調停案が提示された。最終的にはマクラーレンが“スパイゲート”事件によってチャンピオンシップから除外されたため、スパイカーも10位となり、通常どおりに分配金を受け取っている。
スーパーアグリSA07の特徴として挙げられるのが“チキンウイング”。2000年代中盤のF1マシンは恐ろしいほど複雑な空力デバイスの宝庫で、スクープやフリップ、チムニーなど多種多様な空力パーツで表面が埋め尽くされていた。サイドポッド前方に配置されるスプリッターにも様々な形状や大きさが存在したが、なかでもスーパーアグリ SA07のマシンが備えていたスプリッターは若鶏のトサカのようにも見えた(かなり頑張って見る必要があるが)。スペインGPにエアロアップデートを持ち込んだ際に発行したプレスリリースは、その新型パーツを「新しいチキン」と表記しており、一部にちょっとした困惑をもたらした。
2007年、スーパーアグリは開幕戦オーストラリアGPで佐藤琢磨がチーム初、そして唯一となる予選Q3進出を果たすと、第4戦スペインGPで佐藤琢磨が終盤に緊急ピットインをしたルノーのジャンカルロ・フィジケラに競り勝ってチーム初ポイントとなる8入賞を果たして1ポイントを獲得。さらに第6戦カナダGPでは佐藤琢磨がセーフティカー中に連続ピットインでタイヤ使用義務を消化し、終盤には最終コーナーで王者フェルナンド・アロンソを華麗にオーバーテイクして6位入賞。少ない予算の純日本チームの健闘は世界中を沸かせた。一時は低迷を続けるホンダF1をコンストラクターズポイントで一時上回るパフォーマンスをみせていたが、その後は他チームの開発レートに匹敵することができず、ランキング9位で終了。カスターマーカーとスポンサー問題によって運営が回らなくなったスーパーアグリに2008年5月6日に撤退。最終的にこの4ポイントがスーパーアグリとしての全ポイントとなった。
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2020-04-27 03:07:32Z
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