存続危機に陥ったJ1サガン鳥栖が、市民クラブへの移行や身売りも視野に入れていることが27日、分かった。

26日の株主総会と19年度(2月~20年1月)決算報告で20億円以上の赤字計上が明るみに出た。新型コロナウイルスの影響もあり、新規のスポンサー探しは難航中。竹原稔社長(59)は、ホワイトナイト(白馬の騎士)の出現による身売りや市民クラブへ移行の道も探っていくことを明言した。

   ◇   ◇   ◇

株主総会から一夜明けたこの日、竹原社長は「身売りもあるのか?」の問いに「ホワイトナイトの意味ならあるかもしれない」と話した。経営難克服のために昨季から継続中の新規スポンサー探しは、現実的に難しい。敵対的買収を仕掛ける会社は現時点ではなく、経営用語としての「ホワイトナイト」とは意味が異なるが、好条件での買収の可能性も視野に入れ、竹原社長は話した。

再建が難しい現状で、白馬に乗った王子様の出現は現実的ではない。新型コロナウイルスの影響で今後、さらなるスポンサー離れが考えられる。同社長は「今月分の選手の給料は正常に支払われている」というが「キャッシュフローが底をついた」(Jリーグ幹部)との情報もあり、来月、Jリーグからの「リーグ戦安定開催融資規程の特別措置」を受けないと、選手や職員の給料が正常に支払われない可能性もある。

また竹原社長は「他のクラブの例もあるが、市民クラブになっていくというか、いろいろあるかもしれない」とも話した。ファンや地域住民、地元企業、自治体などの協力で、小口のスポンサーを多く募って経営していく方法だ。当然、経営規模を大幅に縮小し、育成クラブへの移行が第1条件となる。しかし昨季を含む赤字の積み重ねが、足を引っ張る可能性もあり、市民クラブへの道も容易ではない。

解決の糸口が見えないまま、時間が過ぎていく-。リーグ戦再開は最短で6月。その前に選手やスタッフの給料日はやってくる。来月19日予定のJリーグ理事会で、スッキリとした解決方法が見つかるとは考えにくい。返済の見込みがない今、Jからの特別融資に頼ってばかりにもいられない。存続へ、いばらの道すらふさがっているかもしれない。【盧載鎭】