Selasa, 28 April 2020

五輪中止回避へ先手打ち延期提案、森会長語る舞台裏 - 日刊スポーツ

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(82)が日刊スポーツの「会長直伝」(不定期連載)で、五輪史上初の延期が決定した舞台裏を語った。

日本での新型コロナウイルス感染者が増え始めた2月上旬、森会長は組織委の幹部に延期した場合のシミュレーションをするよう内々に指示していた。中止を回避するため聖火を日本に持ち帰り、先手を打って日本側から国際オリンピック委員会(IOC)へ延期を提案したことも明かした。【取材・構成=三須一紀】

中国・武漢で新型コロナが感染拡大し、クルーズ船など日本でもその影響が大きくなり始めた2月、森会長の頭に延期の可能性がちらついた。首相時代に取り組んだ沖縄サミットの感染症対策などの経験から、新型コロナが「年内には収まらない」と予測した。

森会長 組織委の一部幹部に、大会を半年または1年ずらしたらどうなるかなど、今から考えた方が良いと話していた。

-そんな中、森会長をはじめとした各団体の長は表向き「通常開催を目指す」と言い続けた。理由は

森会長 日本側がその姿勢を崩したら、IOCバッハ会長は喜んで「中止」を選択しただろう。

-3月22日、森会長とバッハ会長の電話会談で延期の方向性が決まった。なぜこのタイミングだったのか

森会長 IOCはこれまでの我々の努力を認めてくれている。だからバッハ会長は中止を避けたい日本の立場を考えてくれた。その間、IOC理事や各国オリンピック委員会がいろいろなことを言い出した。それでもバッハ会長は日本のために耐えていたと思う。だから、どこかでバッハ会長に応え、日本も延期を打ち出す必要があった。国連や他国、他団体から「中止すべきだ」と言われたら、目も当てられない。その前に、バッハ会長と協調している間に、延期論を出さなければならなかった。

-日本側として中止はあり得なかった

森会長 もちろん。選手たちもガッカリするし、経済もガタガタになる。

-そこからわずか2日後に史上初の延期が決まった

森会長 バッハ会長と急いで会談したいと、安倍首相の意向だった。私の勘で言えばトランプ米大統領、G7首脳の順で延期の応援を取り付けたことで、24日になったのだと思う。

-安倍首相に対し、2年延期の選択肢も提示した

森会長 感染症がどうなるか分からない。2年の方が安全だと誰もが考える。だから一応、提示したが首相は「1年にしましょう」と言い、決まった。でも、現実的には選手のこと、大会運営上の問題を考えても2年延期はありえなかった。22年は北京冬季五輪があるし、その2年後にはパリ五輪がある。2年後なら中止になる。

-来年9月に迎える安倍首相の自民党総裁任期と1年延期の関係は

森会長 関係ない。

-ギリシャでの採火式、引き継ぎ式が縮小される中でも、なんとか聖火を日本に持ってきた

森会長 延期を決める上で、聖火が(20日に)日本に来ていたことは極めて良いタイミングだった。

-聖火が日本に来ていなかったら大会の中止もありえたか

森会長 そうかもしれない。

-延期した東京五輪はどのような大会になるか

森会長 延期前は健常者と障がい者の壁を取り払う「共生」をテーマにしていた。延期後は、人類の危機を乗り越える戦いとなるため、共生に加えたテーマが必要。皆さんの知恵をお借りして今後、打ち出していきたい。

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2020-04-28 23:30:00Z
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