女子で2連覇を目指す紀平梨花(18=トヨタ自動車)が、今季初戦でSP首位発進を決めた。2月のチャレンジ・カップ以来、306日ぶりとなった競技会で79・34点。大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で2・17点の加点を導き「とりあえずジャンプは(全て)立った。80点超えたいと思っていたので、まずまずの点数。満足いっています」と笑顔を見せた。

新たな魅力を存分に発信した。今季取り組むSP「ザ・ファイア・ウィズイン」。炎をイメージした演目は力強く、見る者の心を震わす。シーズン前、フランス人振付師のブノワ・リショー氏に「何かパフォーマンスを入れたい」と数点の提案を受けた。選んだのは片手側転。1歳9カ月で入園した地元兵庫・西宮市の広田幼稚園では、跳び箱8段を跳んだ。だが演技で手をつくのは氷。初めは「ツルツルで苦戦して何回かこけた」と笑ったが、「幼稚園の頃からのものが生きている」と見せ場に変えた。

新型コロナウイルスの影響を受け、出場予定だったグランプリ(GP)シリーズのフランス杯は中止となった。それでも06年トリノ五輪男子で銀メダルを獲得したランビエル・コーチの指導を受け、長期合宿を張ったスイスで練習量を増やした。中1日で迎えるフリーでは競技会で自身が成功例のない、4回転サルコー挑戦が視野に入ってきた。

「オフに頑張ってきたのはサルコー。そのために積んだトレーニングの成果が出ればいい。できるだけ挑戦するつもりで(フリーまで)練習に臨みたいです」

ぶれない目標は22年北京五輪金メダル。可能性への欲は尽きない。【松本航】