「都立の星」がオリックスの窮地を救った。雪谷高出身の6年目、鈴木優投手(23)が西武の山賊打線を5回無安打7奪三振に抑える快投で、プロ初勝利を挙げた。負ければ勝率1割を切るピンチで、チームの連敗を「7」でストップ。価値ある1勝で、高卒の都立高出身者ではプロ野球史上初勝利の快挙を飾った。

昨季に続くプロ2度目の先発。まさに「都立の星」のド根性だ。4回、先頭森に3球目を投げ終えた直後だ。右手を振るジェスチャーで投手コーチらが駆け寄る。つったような状態とみられベンチに消えて治療を受けた後、再びマウンドへ。西村監督も心配そうに見守るなかで踏ん張り抜いた。

仕切り直しで森を高めの球で空振り三振に封じる。山川には縦割れのスライダーで2打席連続の空振り三振。外崎にはスライダーで打ち損じを誘い、三ゴロで片づけた。アクシデントを乗り越え、1歩も引かなかった。チームは7連敗中だが仁王立ちだ。「あまり勝ちを意識しすぎないように、テンポよく楽しみながら投げて結果的に勝ちにつながってくれたらいい」と話した通り、淡々と無安打無失点の快投を続けた。

東京都出身で、都立高の雪谷から14年ドラフト9位で入団した。今季はプロ6年目。期待は大きく、オフは南米プエルトリコでのウインターリーグで武者修行した。ストライクゾーンの高低を駆使する投球などをマスターし、幅を広げた。

この日は立ち上がりからグイグイ攻めた。低く沈むツーシームを多投し、2回まで6人に完全投球。3回は無死一、二塁も後続を断つ。「低めに意識を」と言い聞かせ、要所で低めに集めた。チームは敗戦なら開幕11戦で1勝10敗。勝率は1割を切り、阪急時代の61年と同じ星取りで59年ぶりの惨状になるところだった。歴史的屈辱の瀬戸際で、打線も6回に大量援護。鈴木は5回無安打7奪三振無失点でプロ初勝利を手にした。

◆鈴木優(すずき・ゆう)1997年(平9)2月5日、東京都生まれ。雪谷3年夏は東東京大会8強。14年ドラフト9位でオリックス入団。15年9月30日西武戦で1軍デビュー。昨季まで通算3試合で0勝0敗、3回2/3、自責点8、防御率19・64。今季は6月26日ロッテ戦で初登板し、3回、自責点2でプロ初ホールドを記録した。181センチ、83キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸530万円。