【シカゴ(米イリノイ州)5日(日本時間6日)=四竈衛、斎藤庸裕】注目の日本人「2番打者」対決で、ドジャース大谷翔平投手(29)が、2戦連発となる2号2ランを放った。

カブス戦に「2番DH」で出場。メジャーで2番目に古いリグリーフィールドで初めてプレーし、5打数2安打2打点と活躍した。カブス鈴木誠也外野手(29)は「2番右翼」で出場し、追加点となる右越え二塁打と犠飛を放ち、3打点でチームの5連勝に貢献した。

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ドジャースタイルの大谷が、意味の大きなアーチをかけた。3点ビハインドの5回無死一塁、右腕ヘンドリックスの低めチェンジアップを引っ張った。角度32度、青空に高く舞い上がった打球は右翼ポール際へ。2戦連発となる今季2号はリグリーフィールドで初、メジャー30球場で25球場目の本塁打となった。3万4981人のファンでにぎわった敵地が騒然とする中、大谷は一塁ベースを回って控えめに右拳を掲げた。

ホームに生還後、「カモーン!」と声を発しながらうれしそうな笑顔で3番フリーマンと握手を交わした。それもそのはず。意識した“チーム打撃”が理想的な結果につながったからだ。安打で出塁したベッツを一塁に置き、右方向に引っ張れば、仮に安打だったとしても三塁まで進み、得点できる可能性が高まる。80マイル前後でスピードの落ちるチェンジアップなら、容易に引っ張れる。大谷が初球から迷いないスイングで右翼へ打球を放ったのは、一塁走者の進塁を心がける意識のたまものだった。

10年7億ドル(当時約1015億円)の歴史的契約でド軍に入団した。何より、大谷が求めているのは勝ち続けること。開幕から絶好調のベッツの出塁率は5割5分3厘で、高い確率で走者がいる状況での打撃となる。勝利至上の大谷が、チーム打撃に徹していたとすれば必然的に引っ張る意識が強くなる。その結果、センター方向への基本の打撃が崩れていた可能性があるが、ようやく思い描くイメージと結果が合致し始めた。

この日、1回の第1打席は走者なしの状況で逆方向へ、らしさを発揮する左越え二塁打を放った。2点差の7回2死二塁で本塁打が欲しい場面の第4打席は中飛だったが、両軍最速の打球速度110・2マイル(約177キロ)。ロバーツ監督は「ショウヘイはいいスイングをしていた。センターフライでさえ、軌道と打球速度は本塁打になる当たりだった」と評した。強打者がそろうド軍で、チーム打撃ができれば勝つ確率は高まる。その上で本塁打も打てれば、理想的な攻撃となる。臨機応変な“ドジャース版大谷”の打撃スタイルが、徐々に形になってきた。

▼大谷が2試合連続本塁打で、カブス本拠地のリグリーフィールドでは初アーチ。大谷が本塁打を打ったのは23球場目で、自身が持つ日本人最多記録を更新(2位は松井秀の21球場)。

▼この日は大谷が2打点で、相手のカブス鈴木も3打点。日本人選手同士が対戦した試合で、ともに複数打点を記録したのは09年7月30日の福留(カブス)-松井稼(アストロズ)以来15年ぶり4度目。この試合は福留が決勝の2点適時打を含む4打点、松井稼は2ランで2打点を挙げた。