●反町康治技術委員長
「W杯のカウントダウンと言えるほどに近くなってきた。今回W杯本番前のとても大切な活動と捉えている。アメリカ、エクアドルというW杯に出場する相手とガチンコの勝負をすることによって、チームの課題と成果、メンバーの選考など本番に向けていい材料がたくさん生まれると思っている。この試合はデュッセルドルフで行う。アメリカ戦は6000枚ほど、エクアドルは5000枚ほどチケットが売れていると昨日の段階で聞いている。試合当日には1万人近く観客が来るのではないかと、ヨーロッパでは非常に大きな盛り上がりを見せている。W杯が近いということもあり、海外で働いている方や子どもたち、たくさんの方々にもいい機会を得られた。それに向けていい準備をして、最高の試合をしてこの2試合を終えたい」
●森保一監督
「今回のデュッセルドルフで行われるアメリカ戦、エクアドル戦に向けて、まずはチームでこれまで積み上げてきたことをさらに積み上げていけるように、目の前の一戦一戦に最善の準備をしたい。その先のカタールW杯に向けてのチームの強化のいい準備になっていけるよう、未来を見据えながら一戦一戦戦っていきたい。反町技術委員長もおっしゃったように、われわれが今回活動するデュッセルドルフはたくさんの日本人の方がいる。デュッセルドルフ在住の方々だけではなくて、ヨーロッパからたくさんの日本人が応援に来てくださると思っている。こちらに在住している方々、メディアを通して応援してくださっている方々に、勝利をお届けして喜んでいただく。そして、われわれがチーム一丸となって、選手が個々の良さを出して戦うというところをお見せして、喜び、そして楽しんでもらえるような試合内容と結果を出したい」
─大迫勇也(神戸)、浅野拓磨(ボーフム)、板倉滉(ボルシアMG)が負傷で選出外。W杯の本大会で望みがある状態なのか。今回の合宿で試さなければいけないことはあるか。
「質問に出ていた選手たちの怪我の状態はこれからどう回復していくか、わからない部分はある。だが見通しでいくと、W杯本大会にはしっかり戻って選考対象になるという状態だと聞いている。彼らにはまず焦らずにしっかり治して、W杯直前の自チームの試合でいいパフォーマンスを見せてもらうように期待したい。彼らがいない部分の試みについては、これまでも誰かが怪我で来れなかったり、アクシデントで来れなかったときに、チームとして誰とでも組んで戦う、誰が出ても勝つということを常に言い続けてきた。チームのコンセプトとして今回アメリカ戦、エクアドル戦でやるべきこと、そしてカタールのW杯でやるべきこと、チームのためにということでやっていきたい。また、誰かがいないときにチーム力が落ちるのではなくて、そこでチームを機能させることができる自信を持って戦っていけるように、チーム一丸となって共有しながら準備して戦いに臨みたい」
─EAFF E-1選手権からここにつなげた町野修斗(湘南)、相馬勇紀(名古屋)、そして1月の合宿以来の招集となった瀬古歩夢(グラスホッパー)に期待することは。
「E-1でいいプレーをしてくれていた選手はまだまだいるし、チーム全体でいい戦いができた。E-1選手権の前やその後の自チームでのパフォーマンスを見ていて、彼らはA代表に入っていても、しっかりチームとして機能することができるというパフォーマンスを確認して今回のメンバーに選んだ。あとは彼らがこのグループに入って、トレーニングや試合でプレーするチャンスがあれば、自分ができること、自分がチームのためにできることを最大限思い切って見せてほしい。瀬古はグラスホッパーに移籍して、新しいシーズンではレギュラーとして試合に出ていますし、去年移籍してきたときからいろんな部分で強く激しくインテンシティ高く戦う中で、強さを身に付け、そしてディフェンスではありますが、本来彼が持っている対人の強さと攻撃の組み立ての良さを発揮できているところを現地の視察や映像で確認した。今回のグループに入っても、活躍できるだろうということで招集した」
─GKは4名選出。本番は何人体制で行くつもりか。
「状況次第でスタッフとW杯直前に議論して、最終的に決めるところはある。基本的には3人の体制と思っている」
─W杯ではベンチがチームとしてまとまれるかという見極めも大きい。いまのメンバーは気配りをする必要がありそうか。
「全員の選手が、試合に出たとき、出られなくてベンチで応援する側で回ったとしても、チームのためにという大前提のもと自分のできることを準備して、試合に向けて気持ちをひとつにして戦ってくれる。もちろん、選手は試合に出られなければストレスが溜まることは当然ある。だがすべての選手がチームのためにと考え、一緒に戦ってくれる。これまでの活動のときもメンバー外だったり、試合に使ってあげられる選手、プレーできなかった選手は常に出てきている中で活動した。直近の6月やアジア最終予選ではかなり出場時間等も差が出ていたところもある。その中でチームとして問題が出たことはなかった。選手を信用して招集したい。試合に出なければストレスが溜まることはもちろんある。わたしも含めてスタッフ全体で選手をサポートしていけるように、思い切って活動してもらえるように、コミュニケーションを取ってやっていきたい」
─“やんちゃ”な選手はいないか。
「みんな自分が一番だと思ってプライドを持って戦っている選手。やんちゃかどうかという表現はわからないが、みんなおれが一番だと、王様だと思っている選手。逆にそうであってほしい。自分が一番だと思っている選手たちが気持ちの部分で、チームのために、仲間のために、走って戦うということを出してくれると思っている」
─酒井宏樹(浦和)が怪我明け。当初の26名という人数から30名に増やしたというのは、今回のような状況も考慮していたからか。
「まず酒井宏樹に関して、プレーできるであろうということはメディカルスタッフが確認していた。試合に出場できる目途は立っているということを聞いた上で、本人の状態を確認してきた。きのうのJリーグの試合で、後半から出場してアグレッシブにプレーできているところを確認できたので招集した。人数については、怪我人等ということよりも、今回30名選んだが26名というよりももう少し大枠で招集して活動した上でW杯に向かっていくほうが、共有の幅もより増えて厚みも出て、W杯に向かっていけるということで増やした。まだまだ30人以外にも最後にパフォーマンスを発揮して、カタールW杯の日本代表選手として戦ってくれる選手はいると思う。今回のメンバーを中心にということは間違いないと思うが、プラスまだまだ可能性のある選手もリサーチしている。最後までしっかり見ていきたい」
─(反町技術委員長に)W杯直前にカナダとの試合が決定。半年前には9月が直前合宿と言っていた。サポートする立場で、今回の合宿で確認しておきたいことは。
「事前に(初戦)ドイツ戦の前に試合を行うというのは、ドローでいつ日本の初戦があるかということを踏まえて考えようとしていた。11月23日にドイツ戦ということになってから逆算をして、この日だったら試合できると考えていた。最終的には1試合をやろうという形になった。Jリーグ組と海外組でそのときの状況になってみないと、選手のコンディションはバラバラ。海外組だとしてもフルで出ている選手とそうじゃない選手もいる。早く中断期間に入るところもある。その状態を本番で確認するのではなくて、その前のゲームで確認することがベストなソリューションだと考えた。選手は26名を最終的に選ぶ形になるが、9月の活動でスタッフに関しては本番モードでやろうという話をしている。今回のスタッフの編成は、基本的には本番と同じようなメディカルやエキップメントスタッフの担当で、ぶっつけ本番ではなくここでしっかりとした準備を行う。本番でよそよそしいものではなくて、ひとつのグループとしてできあがっている状態を作りたい」
─柴崎岳に期待することや本番でのメンバー入りに必要となるものは。
「彼はシステム変更であったりいろんな状況での戦いの中で、持っている経験、そしてパーソナリティも含めて、常に自分のできることを最大限に発揮してチームに貢献してくれるということを見せてきた。今回の活動においてもまだどういう起用かは決めていないが、戦い方も考えているところから変更点があった中でも、彼の経験であったりプレーの幅を使って、まずは自分のパフォーマンスを100%発揮してほしい。チームがつながりをもって戦うために、彼の良さを発揮してほしい。岳もほかの選手も一緒だが、30人招集させてもらう中でピッチ上に立てるのは11人だけ。そこを踏まえて試合に出たとしても出られなかったとしても、チームのために彼らができることをやってほしい。やってくれる選手だと思って期待をしている」
─この2試合は有観客。対戦国も観に来る可能性もある。どのように捉えているか。
「もちろん、本大会直前になったときに、非公開で相手にわからない準備をすることはやっていくつもりではある。その前にチームのベースを今回積み上げてレベルアップをしていくことにおいて、活動をオープンにして見られてもいいと思っている。それよりも大きなメリットは、デュッセルドルフで活動してヨーロッパにいる日本人の方々に応援していただいて、われわれ日本代表選手のがんばっている姿を観ていただくことと思っている」
─(反町技術委員長に)対戦国から観に行きたいというオファーはあったか。
「いまのところは入っていない。スペインとドイツは隣国でネーションズリーグを行っている。コスタリカは韓国に来て試合をしている。情報合戦はあるが、まず自分たちで何ができるか、そこに全神経を集中してやることが大事。相手うんぬんより自分たちの戦い方をしっかり整える。そこに力を入れることが、どこの出場国も同じ。ある程度初戦の相手のドイツの地でやることは不思議な感じはするが、自分たちの戦いに集中して、ヨーロッパにいるたくさんの子どもたちや働いている方々に勇気を与えたい。デュッセルドルフには日本人が8000人いる。それだけで1万人近い人数が集まってくれると思っているし、いい形で決起集会をしてもらえれば」
─旗手怜央(セルティック)は6月シリーズで招集外。いまの評価と今回招集した狙い、期待は。
「彼は6月の代表活動のときは招集外だった。しかし招集して活躍できるであろうという彼への評価はずっとしてきた。これは旗手だけではなく、6月やこれまでの活動で選ばれなかった選手は、活動のときに選ばれる人数が決められているし、選べない選手も含めてラージグループとして常に見てきている中に彼はいた。私自身は東京オリンピックチームから、彼が大学生のころから一緒にチーム活動で仕事をしてきた。成長は常に見受けられる。今回の代表招集に向けても、セルティックでの日ごろのパフォーマンス、そして直近であれば、CLでR・マドリーと戦ったときもすごくいいパフォーマンスをしていた。きのうのシャフタールとの試合でも彼自身のパフォーマンスは得点関与も含めていいパフォーマンスを確認している。彼自身が存在感を発揮して結果を出して、この招集を掴み取ったと思っている」
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2022-09-15 06:40:00Z
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