阪神が来季監督として、05年にリーグ優勝を飾った岡田彰布氏(64)の復帰で調整を進めていることが27日、分かった。レギュラーシーズン終了後にも発表される。今季限りでの退任をキャンプイン前日に表明し4年目に挑んだ矢野燿大監督(53)は優勝を逃し、残り3試合で3位でのクライマックスシリーズ進出を目指している。岡田氏は04年からの就任5年間でリーグ優勝を含む4度のAクラス入り。その豊富な経験と手腕で、来季18年ぶりのリーグ優勝へ導く。

◇◇◇◇◇◇◇

虎最後の優勝監督が指揮官として15年ぶりにタテジマのユニホームに袖を通す。岡田氏が甲子園で宙を舞った05年を最後に17年間、1度も優勝がない。異例の退任表明で退路を断ち4年目の指揮を執った矢野監督は、開幕から9連敗を喫するなど歴史的低迷に苦しんだ。残り3試合でクライマックスシリーズに進出を狙うが、やはり虎党が一番望むのはリーグ優勝だ。次期監督候補には、平田2軍監督の昇格などの案も浮上したが、勝てる新監督として卓越した理論を持ち、実績もある岡田氏に託された。

現在も評論家としてネット裏からチームの状況を見守り続け、歯に衣(きぬ)着せず愛のある厳しい意見を述べてきた。05年のリーグ優勝時には「JFKトリオ」と呼ばれたウィリアムス、藤川、久保田の強力リリーフトリオを結成。二塁手だった今岡を打撃優先のため三塁へコンバートし5番打者として147打点を挙げる活躍を引き出した。 この日、大阪市内の阪神電鉄本社で取材に応じた百北幸司球団社長(61)は「今シーズンが終わるまでは、新監督人事について申し上げることはない」と話した。ただ、シーズン最終戦となる10月2日ヤクルト戦(甲子園)までに新監督が正式決定することについてのメドについては「それは立っています」と明言。カウントダウンは始まっている。

6月に行われた親会社の阪急阪神ホールディングスの株主総会で阪神谷本修取締役オーナー代行(57)は「軸となる選手が投打ともにドラフト上位の選手が名を連ねてくれるようになった。そこは継承していきたい」と育成路線を継承できる人物が適任と話していた。だが、近本、佐藤輝、大山、中野ら野手では若手の主軸がそろい、今季もリーグ唯一の防御率2点台を誇る強力投手陣と戦力は充実してきている。優勝経験のある岡田氏があとはチームを束ねるだけだ。

岡田氏は79年ドラフト1位で6球団競合の末、阪神入りし1年目から新人王を獲得するなど活躍。3番バース、4番掛布と強力クリーンアップを組み、85年には球団唯一の日本一にも輝いている。引退後は1軍監督だけでなく2軍監督も務め、若手育成にも力を注いだ。1軍の監督は10年からオリックスで3年間指揮して以来、11年ぶり。ファンからも絶大な人気を誇る岡田氏の現場復帰が、常勝軍団へのスタートとなる。

◆岡田彰布(おかだ・あきのぶ)1957年(昭32)11月25日、大阪府生まれ。北陽(現関大北陽)-早大を経て79年ドラフト1位で阪神入団。80年新人王。日本一に輝いた85年にベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)。94年オリックスへ移り、95年引退。通算1639試合に出場。打率2割7分7厘。1520安打、247本塁打、836打点。96年からオリックスで2軍コーチ。98年に阪神復帰し、2軍監督などを歴任。04年から1軍を率いて05年リーグV。10~12年オリックス監督。現役時代は175センチ、77キロ。右投げ右打ち。