大谷は高さという部分で、特にカット気味に曲がる球の抑えが効いていた。80球で交代となったのは、キャンプが短かったので、肘への影響などを考えれば仕方ない。三振を9個も取れたし、今季初登板ということを考えれば、十分合格点といえる内容だった。惜しむらくは、3回にブレグマンに左前適時打を打たれた1球。スプリットが高めに抜けたが、あとはほぼ完璧だった。

2回からは初球など早いカウントから投げていたカーブが有効だった。投手有利なカウントがつくれていた。だが、あれだけ決まれば相手も分析してくる。次回は狙ってくる選手がいるかもしれないので、ストライクをそろえ過ぎないことも頭に入れておきたい。変化球の抜け球は、この時期にはあるものだと想定して配球を考えればいい。右打者の胸元に抜けたスライダーは、うまく次の外角球への布石となっていた。逆にスプリットの抜け球は、半速球になるから警戒しないといけない。

意図していたかどうか分からないが、スプリットが左右に落ちていた。私は現役時代、フォークを使い分けていたが打者の膝元に近づいていく球は危ない。打者が対応しやすく、すくい上げられて長打になる可能性が高いからだ。初回先頭の右打者アルテューベはたまたま内角のスプリットで見逃し三振になったが、基本は打者から遠く、アウトコースに落とすことだ。

次回登板から徐々に球数を増やして6回、100球を目指していけばいい。「1番投手」の二刀流は、投げて打って走って大変だが、今年もわくわくさせてくれることを期待している。(日刊スポーツ評論家)

エンゼルス対アストロズ 5回表途中で降板し、ベンチで険しい表情のエンゼルス大谷(撮影・鈴木みどり)
エンゼルス対アストロズ 5回表途中で降板し、ベンチで険しい表情のエンゼルス大谷(撮影・鈴木みどり)
エンゼルス対アストロズ 1回裏、打席に入るエンゼルス大谷の守備位置は投手と表示される(撮影・鈴木みどり)
エンゼルス対アストロズ 1回裏、打席に入るエンゼルス大谷の守備位置は投手と表示される(撮影・鈴木みどり)