【オーガスタ(米ジョージア州)10日=高田文太】ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ松山英樹(30=LEXUS)のマスターズは14位だった。出入りが激しく5バーディー、5ボギーの72で回り、通算2オーバー、290。スタート前と順位は変わらず、雪辱と2度目の優勝に意欲を見せた。最後は、10アンダーでメジャー初優勝したスコッティ・シェフラー(25=米国)にグリーンジャケットを贈呈する大役で、激動の1週間を締めた。

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1年前とは違う立場で、松山は表彰式で西日を浴びていた。ディフェンディングチャンピオンとして最後の仕事。今年の主役シェフラーに、栄光のグリーンジャケットを贈呈する大役を務めた。背中から着させると両肩をもみ、振り返ったシェフラーとガッチリ右手で握手。笑顔で拍手し、勝者をたたえた。この時に着ていた松山のグリーンジャケットは、今大会で1年間の持ち出し可能期間を終えた。今後はオーガスタ・ナショナルGCで保管されるが「また外に持ち出せるように頑張りたい」と、2度目の優勝に思いをはせた。

第2日を終えて2位だったが、第3日で77と崩れ、14位に後退していた。スタート前から優勝が絶望的だった最終日は「6、7アンダーぐらい目指して頑張ったんですけど、最初の方からパターをなかなか入れることができず苦しかった」と、気合が空回りした。

2番パー5はパターで3打を要して落とした。3番パー4は今大会好調だったアプローチでミスし、連続ボギー。それでも前年優勝者の意地が背中を押した。4番パー3はティーショットを2メートルにつけ、第3日にダブルボギーを喫した5番パー4では、グリーン外10ヤードからパターで決めて連続バーディー。随所で大歓声を起こしながら、最終日はイーブンパーでまとめたが「もう少し優勝争いに絡みたかった」と唇をかんだ。

それでも、たどり着いた18番のグリーンではパトロンに総立ちで迎えられた。首周辺を痛め、直近1カ月は欠場と棄権続きだった、松山の苦労をねぎらった。王者となったことで敬意を表され、温かい雰囲気に包まれたことは「それは感じました」。そんな特別な場所だからこそ「今週は痛くてもやるつもりだった」と欠場の選択肢はなかった。

「(調子が)悪くてもこの位置にいられるのは自信になった。体力的というよりは、精神的にしんどかったので、しっかりと休み、またゴルフがしたくなったら、やればいい」。次のメジャーは5月19日開幕の全米プロ選手権。連覇は逃したが、男女を通じて日本人初となる、メジャー2勝目への挑戦は続いていく。