それは、突然やってきた。
10月2日、ホンダが21年限りでF1参戦を終了する判断を下したと発表した。
ただし、それは08年のシーズン終了直後の前回撤退とは事情が異なっていた。
08年はサブプライム問題に端を発した経済状況の急激な悪化で、翌09年以降のF1レース活動の継続を断念せざるを得ず、当時所有していたイギリスのチームの将来も何も決定していない中での撤退発表だった。
それが今回は、契約が残っている21年末までは活動を継続し、そのシーズンをもってF1から退くという決断となった。08年に「撤退」という言葉を使ったが、今回は「参戦を終了する」という言葉を選んだあたりに、ホンダなりのけじめを感じた。
ホンダの表明は熟考の末のものだった
会見で八郷隆弘社長が語った、今回の決定に至るまでの経緯にもそれを感じることができる。
「今回の参戦終了については、昨年(11月に21年までの)1年延長を決めたときから、いろいろなことを考えてまいりました。そして今年の8月にレッドブルにわれわれの考えを伝え、最終的に終了を決定したのは先月、9月末のことになります」
つまりホンダの今回の発表は、熟考を重ね、パワーユニットを供給しているチームにも事前に通知したうえで下された決断だったのだ。
昨年のオーストリアGPで復帰後初優勝を飾ったとき、八郷社長は「ホンダにとってF1は創業者の夢であり、大切なDNAの1つ」と語った。そして復帰後5年もの間、開発やレースの現場で数多くの困難に直面しながらも自分たちの力を信じ諦めずに戦い続けてきた従業員たちを称賛し、努力が結実したことを喜んだ。
その大切なDNAの1つを失う決断を下さなければならなかった理由を、社長は次のように説明した。
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2020-10-02 21:01:00Z
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