阪神ドラフト2位の井上広大外野手(19)がプロ初の1軍昇格日に「7番・右翼」でスタメン出場し、球団では68年の川藤以来52年ぶりとなる高卒新人野手のデビュー戦先発出場を果たした。

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井上は面白いよ。それは別格のデキだった大野雄が、9球中1球しか真っすぐを投げなかったことでも分かる。本来ならプロの格の違いを見せるべく、もっと真っすぐで勝負してもいい。それが恐らく打席での構えや雰囲気を見て、正直にいけばやられるかもと感じるものがあったのだろう。

ほとんどスクリュー系の落ちる球。でも井上もどんどん積極的に振っていった。5つ空振りだけど、いきなり1軍に来て重圧もある中、簡単にバットを振れるもんじゃない。しかも相手はリーグを代表する大野雄ですよ。当たらなかったけど振れる。振れるのは打者にとって一番大事なこと。まだ高卒1年目なのに、ファームで4番を打って2冠を行くだけのことはある。

スイングもバットを立てているから大したもの。ヘッドが走って、内から最短距離で出るから強打できる。イチローもそう。だから低めにも対応できる。それは5回の第2打席で、大野雄が唯一真っすぐを投げて一ゴロに倒れた場面に現れていた。小幡も同じようにバットを立てて打てるいい打者だが、井上も非凡なセンスを感じる凡打だった。

この日の大野雄と阪神打線は、失礼ながらプロと高校生が対戦しているほど、力の差を感じた。その中で何とか勝負に持って行っていたのは、近本、大山、小幡、そして井上ぐらい。1軍レギュラーがそれぐらい苦戦した中で、井上は堂々とスイングした。もちろん、明日以降も使い続けるべき。大物になると感じた。(日刊スポーツ評論家)

中日対阪神 8回表阪神無死、井上は空振り三振(撮影・加藤哉)
中日対阪神 8回表阪神無死、井上は空振り三振(撮影・加藤哉)