我慢比べは勝負球を信じたバッテリーに軍配が上がった。

2点リードの7回2死、ヤクルト歳内宏明投手(27)は一、二塁に同点の走者を背負った。DeNA山下にフォークから入る。「初球、2球目と合っていなかった。勝負どころでは一番信頼しているボール」。四球覚悟の7球連続フォークで二ゴロに。15年9月29日以来、1829日ぶりの1軍勝利をつかんだ。

阪神を昨季限りで自由契約になり、四国IL・香川をへてNPB復帰。阪神時代の2勝は中継ぎだったため、自身初の先発白星だ。前回のDeNA戦は復帰初登板で「ほっとした」。だが2試合投げて勝ちなし。力にならなければ意味がない。「ヤクルトに拾ってもらって、こうやって結果を出せてほっとしています」。今度は勝って安心した。

制球が光った。過去2戦は浮いた球を安打された。テーマは「低く」。高校時代からスプリットが生命線だった。打者からすれば高めに来なければそう打てない。山下の場面。7回になっても1球も浮かなかった。

だからこそ大胆に攻められた。全83球中、フォークを直球(27球)の1・5倍の41球投げた。同一打者に7球連続が1回、5球連続が1回、4球連続が2回。21アウト中過半数の11個をフォークで積み重ねた。「前の試合は野手にすごく助けてもらったので。今日はチームを勝たせる投球ができて良かったです」。宝刀フォークと直球、時折カーブのコンビネーション。「最高の結果」を導いた先発スタイルを見つけた。【鎌田良美】

ヤクルト高津監督(0封勝ちで2カード連続勝ち越し)「歳内がすごく丁寧に投げて、西田の強気なリードがバッテリーとして機能した。昨日の石川も歳内も、先発が試合をつくってくれて野手が先制する。いいゲーム運びができている」