心で打った。巨人岡本和真内野手(24)が、打撃2冠に返り咲いた。3回にバックスクリーンへ26号2ランを放ち、7回にも適時打。本塁打数で阪神大山に並び、81打点でリーグ単独トップとした。試合前の円陣で「ボールを心で追え」と声出し。邪念を取り払った主砲の活躍でチームは引き分けを挟んでの連敗を3で止め、優勝マジックを「6」とした。

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無表情。相手バッテリーからしたら、何を考えているか分からない。それだけ岡本はリラックスしていた。2点リードの3回無死一塁。2球で追い込まれても、焦るそぶりを敵に見せない。3球目は、ど真ん中に入ってきた141キロ直球。おあつらえの球にも、表情を崩すことはなかった。しばき上げた打球はバックスクリーンへ一直線。威風堂々とダイヤモンドを1周した。

無駄な力は抜けていた。第1打席で捕邪飛に倒れると、ベンチで原監督からアドバイスを受けた。若大将は「構えた時に、グリップに力が入りすぎているよと。もう少し、少し、ゆるゆるの状態でね、力を抜いてね。あと、しならないとね」と2代目若大将へ言葉を掛けた。岡本は「『もう少しリラックスして打席に入ったらどうだ』というお言葉をいただきました。つなぐ意識を持っていたことがいい結果につながりました」。48打席ぶりの1発が生まれた。

試合前から“心を整えていた”。いつもなら岸田、吉川大が、時には小道具を用意し、仕込んだネタをかます試合前円陣の声出し。岡本が珍しく指名された。「おぉ~久々」の声を受けながら、中心に入ると「今日は集中して、ボールを心で追え!」と声を上げ、見事に笑いを誘った。邪念を取り払い、心でアジャストしてみせた。

無心で初のタイトルへ歩みを進める。本塁打数はこれで阪神大山に並びリーグトップタイの26本。7回にも中前へ適時打を放ち、81打点で、中日ビシエド(80打点)を抑えて単独1位となった。「まだ試合はあるので個人タイトルは意識していません。チームの勝ちに貢献できる打撃ができるように頑張ります」と言い切った。「得点圏の時はランナーをかえこと、ランナーがいないときはチャンスメークすること」。4番として、バットを振る。その先に数字はついてくる。【栗田尚樹】