1軍復帰した日本ハムのクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(29)の激走が勝利を呼び込んだ。西武10回戦(メットライフドーム)の2回1死三塁。三塁走者のビヤヌエバが、フライング気味の“神スタート”を切って中島卓也内野手(29)のスクイズ成功をお膳立て。左足甲の打撲から完全復活した助っ人の「足」で盛り上がったチームは今季3度目の3連勝。貯金を今季最多タイの2とした。

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腹をくくった三塁走者のビヤヌエバが、会心の? スタートを切った。2回1死三塁。打者中島のカウントは2ボール1ストライク。ベンチからのサインは、スクイズだった。

西武高橋光がセットに入り、わずかに左足を動かした瞬間に走りだした。「中島選手が必ず決めてくれると信じて、思い切りスタートを切った」。投球か、けん制か、まだ判断できないくらいのタイミング。さらに投球をウエストされれば憤死する可能性もあったが、結果的に“ギャンブルスタート”は成功した。

グングン加速する助っ人の視界には、スクイズの構えをする中島の姿がどんどん大きくなった。本塁まで約5メートル。バントした打球が自身に向かってくる危険もあり、顔はやや避け気味。それでもスピードは緩めず、打球が投前に転がった頃には、スライディングもせずに本塁を駆け抜けていた。「結果的に、いいバントを決めてくれて、追加点を取ることができてよかった」。あまりの好スタートにベンチは爆笑。栗山監督は試合後、報道陣からの質問に「答えさせるなよ。察しろよ」と苦笑いした。

自打球を左足甲に当てた影響で7月30日に抹消されていたビヤヌエバは、予定よりも早い昇格だった。21日に2軍戦で実戦復帰。23日に昇格への最終チェックを行う予定だったが、同監督は「雨で流れた(試合中止になった)んだから、しょうがないだろ」と“見切り発車”でこの日に合流させていた。

そんな不安も拭い去るように「ようやくケガから復帰して、みんなと野球ができてうれしい」との思いを、神走塁&2二塁打で体現。チームは3連勝となり、貯金は今季最多タイの2。頼もしい助っ人も戻り、真夏の大反攻は勢いが止まりそうにない。【木下大輔】

▽日本ハム中島(2回にスクイズ成功)「ビヤ(ビヤヌエバ)がいいスタートを切ってくれたので、とにかくバットに当てようという気持ちでした。ビヤのおかげです」