どれだけ凄い選手でも「年齢の壁」には勝てない。阪神の藤川球児投手が今シーズン限りでの現役引退を表明したというニュースを目にしたときは、「ついにきたか」と少なからずショックを受けた。
いわゆる「松坂世代」のドラフト1位。浪人、大卒の私とは1999年にプロの門を叩いた同期でもある。松坂世代だけでなく、社会人から福留孝介選手(阪神)らも入団したあの年は、胸を張って自画自賛させてもらうが、実績を見渡しても「最強の年」だと思っている。2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や08年北京五輪でともに日の丸を背負った。
メディアの中で「火の玉ストレート」と呼ばれる球児のまっすぐは、打者の手元で浮き上がるような威力がある。来るとわかっていても、打てないまっすぐ。打者が力負けして、バットが空を切るまっすぐ。投球スタイルは違ったけれど、あれだけのまっすぐを投げられるというのは、うらやましい部分もあった。
球児が飛躍を遂げたのは、阪神がリーグ優勝を果たした05年。その後は絶対的な守護神へと上り詰め、メジャーでもプレーした。日米通算22年で806試合に登板し、61勝35敗245セーブ。現在は右上肢のコンディション不良により、2軍でリハビリ中だが、報道を見ると、阪神の球団本部長の会見では「体が悲鳴を上げていて、手術が必要なレベル」だという。若いときから、あれだけ投げていれば、ダメージの蓄積は避けられないだろう。
引退後の体のことを考えれば、手術をして、もう投げないという選択肢もあるかもしれないが、本人がシーズンをまっとうする覚悟があるのなら、決断は尊重されるべきだろう。
引き際は難しく、正解もない。私は1軍の戦力になれないと思ったら「引退試合」もすることなく、シーズン途中でユニホームを脱いだ。自分の決断に迷いはなく、後悔もしていない。開幕前に「この1年でやめる」と公言してプレーする選手も"あり"だし、シーズン終了後に表明するのも"あり"だろう。もちろん、球児のようなケースもある。いずれにしろ、クビを宣告されることなく、自分で引き際を決めることができる選手は、ほんのひと握りでしかない。
名球会入りの条件である日米通算250セーブまで残り「5」。球児には、ぜひ達成してほしいと願うが、真剣勝負の中で成し遂げてほしい。
今季はコロナ禍の影響でセ・リーグはクライマックスシリーズがなく、レギュラーシーズンは巨人が独走気味だ。もしもリーグ優勝の可能性が少なくなったからといって、球団の功労者だからといって、1軍のクローザーの椅子を用意するようなことはするべきではない。メディアもそういう起用をあおるような報道はやめたほうがいい。球児の性格からしても絶対に望んでいないと思う。
今季は各チームのクローザーが苦しんでいるから想像しやすいが、一つのセーブを挙げることは簡単ではない。球児は幾多の修羅場を乗り越え、245のセーブを積み重ねた。そんな球児だから自分の実力で節目に到達できると信じている。シーズン終盤の消化試合で繰り広げられる醜いタイトル争いではないが、周りが"忖度"する必要はまったくない。
グラウンドに立てば実力社会。実績も年齢も関係ない。そんな世界で20年以上もマウンドに立ってきた球児の復活を期待している。だから「お疲れ様」は・・・、まだ早い。まだ言わない。
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2020-09-01 02:00:20Z
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