5分11秒の祈り――。フィギュアスケート男子で14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(25=ANA)が6日、日本スケート連盟の公式ツイッターを通じてメッセージ動画を届けた。コメントは最小限とし、自身も被災した11年東日本大震災以降に披露した17曲の振り付けを再現。最後は伝説のプログラム「SEIMEI」の冒頭ポーズで、新型コロナウイルスに苦しむ世界に平癒の願いを届けた。
まるで羽生結弦の“アンソロジー”だった。いつもと異なるゴールデンウイーク、最終日の6日午後3時。羽生は、日本スケート連盟の公式ツイッターを通じて3つの動画を一斉投稿した。「フィギュアスケーターの羽生結弦です。2011年3月11日から今までの、僕とプログラムたちの道のりです」
短いメッセージから始まったパート1の動画は、突如、室内での振り付け再現の映像へ。黒のジャージー姿で、震災を経験した11年当時のSP曲「白鳥の湖」を皮切りに、7曲を2分3秒で舞った。パート2は6曲1分48秒、パート3は4曲1分5秒で、17曲の合計は4分56秒。あいさつも含めた動画の総再生時間はくしくも「311」秒。曲に合わせ髪形をアレンジし、下手から上手へ移動する演出のこだわりも見せながら、思い出のプログラムを披露した。
3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)が中止。フィギュアスケートだけにとどまらず、世界中が新型コロナウイルスの恐怖と向き合っている。この日で終了するはずだった、政府による緊急事態宣言は延長された。震災を経験した羽生は、世界中の人たちが心から笑える日が来ることを祈念していた。
17曲のフィナーレは、五輪連覇を成し遂げた18年平昌五輪など、数々の伝説を打ち立てたプログラム「SEIMEI」。陰陽師(おんみょうじ)の安倍晴明が左手を上げ、右人さし指と中指を立てるおなじみのポーズだった。手のひらは天、足は地、指は人。羽生が込めた思いは、多くのファンに届いたはずだ。
《日本連盟が企画“リレー”大トリ》今回は日本スケート連盟が企画した「Skate Forward 明るい未来へ」の一環で、各種目の選手によるリレー形式の大トリを羽生が飾った。羽生は自身のメディアやSNSを持たないため、自らの編集動画を投稿するのは異例だ。なお、4月17日には日本オリンピック委員会の公式ツイッターで「3・11の時の夜空のように、真っ暗だからこそ見える光があると信じています」とメッセージを発信していた。
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2020-05-07 03:51:32Z
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