父ディープインパクト超えを期待させる器だ。76年ぶりの無観客開催となった競馬の祭典「第87回日本ダービー」が31日、東京競馬場で行われ、福永祐一(43)騎乗の1番人気コントレイルがデビュー5連勝で世代の頂点に立った。無敗でのダービー制覇は、父が達成した05年以来11頭目、同2冠は7頭目。また、同一年に牡牝ともに無敗2冠馬が誕生するのは史上初となった。
無人のスタンドに鳴り響くのはコントレイルの力強い蹄音。17年に生まれたサラブレッド7262頭。その先頭でゴールを駆け抜けた瞬間、幻の大歓声が聞こえてくるようだった。コロナ禍の中で開催されたダービー。福永は愛馬の背で静かに喜びをかみしめた。「無敗でこういう勝ち方をできて底が見えない。これでスターホースの仲間入りをしたと思う」
底知れなさを感じさせる3馬身差Vだ。好位追走から難なく抜け出した直線。皐月賞でも死闘を演じたサリオスが外から迫るが、脚力の違いで一気に引き離す。だが、そこからは集中力を欠くような走り。福永は「最後は遊ぶように走っていた。“まだゴールじゃないよ”と教えるためにムチを入れた。しぶしぶ走っていた感じ。それでこの舞台を勝っちゃうんだから本当に凄い」と苦笑い。選ばれし精鋭17頭が相手でも本気の走りは必要なかった。
偉大な父ディープインパクトに続く無敗でのダービー戴冠。5戦全勝、全て単勝1番人気、全てで最速の上がり3Fを計時したのも父と同じだ。さらに後方一手だった父よりも脚質の幅は広い。福永が強調したのは同馬のサイズ感の良さ。この日は460キロでの出走。「今の速い馬場においてこの馬はサイズ、筋肉量のバランスがいい。最近は牝馬の活躍が目立つが、大型馬よりこのくらいの大きさの馬の方がスピードを維持できて、負担も少ないんじゃないか。460キロの体重は競走馬にとって理想的」と持論を展開した。
管理する矢作師も改めて見せた可能性の大きさに目を輝かせる。「まだディープインパクトの本当の後継種牡馬はいないと思っている。今日でまた一歩、その座に近づけたかな」。秋は国内専念で、大目標は3冠目となる菊花賞(10月25日、京都)。振り返れば、東日本大震災で日本が悲しみに暮れた11年もオルフェーヴルという3冠馬が誕生した。この日、生まれた3冠候補。大歓声に包まれた秋の走りが今から待ち遠しい。
◆コントレイル 父ディープインパクト 母ロードクロサイト(母の父アンブライドルズソング)牡3歳 栗東・矢作厩舎所属 馬主・前田晋二氏 生産者・北海道新冠町ノースヒルズ 戦績5戦5勝 総獲得賞金4億7259万8000円。
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2020-05-31 20:50:21Z
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