【サンディエゴ=四竈衛】パドレスのダルビッシュ有投手(36)は、7回4安打1失点2四球12奪三振の快投を演じたものの、打線が完封され、2敗目を喫した。

立ち上がりの初回は、10球で3者連続空振り三振と、快調に滑り出した。

だが2回、思わぬ新ルールの「落とし穴」が待ち受けていた。1死からバント安打のミッチェルを一塁に置いた際、電子機器「ピッチコム」を通して守備のサインを送ろうとする捕手ノラが、やや迷い気味であることに、ダルビッシュは気付いていた。それでも、20秒の「ピッチクロック」は着々と進む。そこでダルビッシュが一度プレートを外した動作を、審判団は「けん制1回」とカウント。パドレスベンチ、ダルビッシュはその事実を認識しないまま、試合は続行された。

その後、ダルビッシュは、カウント1-0から一塁へけん制した。さらに、1-1からベンチの指示で再びけん制した際、計3度目と判定され、今季からの規定に従い「ボーク」が宣告された。「(投球前に)1回ステップオフしたんですけど、それがけん制という形にとらえられた。ベンチも分かっていなかったですし、僕らもよく分かっていなかったので」。1死二塁から三盗、犠飛で許した1失点が決勝点となった。

それでも、試合後のダルビッシュは淡々と事実を受け止めた。「メジャーリーグの野球の一部なので、向こうも同じこと(ルールで)をやっている。勝てる理由、負ける理由というのが、また新しいルールによって増えて来ているということだと思うので、みんなここから学ぶこともあると思います」。

試合に敗れたとはいえ、スプリットを多投する新たな配球パターンを取り入れるなど、投球内容はほぼ完璧。WBC出場の影響で開幕前は調整が遅れ気味だったが、もはや不安材料はない。「筋力もWBCの時に比べたら戻ってますし、体調もいいですし、精神的にも本当に良くなって来ていると思います」。初勝利は逃しても、超満員の地元ファンをうならせる奪三振ショーだった。