日本のエースで世界35位の錦織圭(30=日清食品)が、いきなりの5セット試合の激闘を切り抜けた。

昨年8月の全米以来の4大大会出場で、同34位、第32シードのダニエル・エバンズ(英国)を1-6、6-1、7-6、1-6、6-4で下し、6年連続10回目の初戦突破につなげた。錦織は4大大会の5セット試合は9連勝となった。2回戦では同73位のステファノ・トラバグリア(イタリア)と対戦する。

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何とか勝った。錦織にとって394日ぶりの4大大会出場だけでなく、いきなり482日ぶりの5セット試合の激闘。10度前後の肌寒さに、小雨、風、そして新型コロナ。赤土や球はぬれ、球は重くなり、「さすがにきつかった。タフな試合だった」。最悪の環境の中、錦織はやっと勝ち切った。

相手はシードながら、赤土は大の苦手。1度も全仏で勝ったことがない。その相手に対し、錦織のプレーは山あり谷ありで、全く安定しなかった。しかし、勝ち上がれたのは、5セット試合の勝負強さだったかもしれない。

4大大会の5セット試合は21勝4敗。現在9連勝中で、5セットで敗れたのは、17年全豪4回戦のフェデラー相手が最後だ。この日も3オールから自分のサービスゲームのピンチを切り抜けると、訪れた1度目のマッチポイントで取り切った。

内容的には決め手を欠き、ぐちゃぐちゃだった。それでも勝てたことは大きい。錦織は復帰してから「なるべく試合数をこなしたい」と、実戦感覚を磨くことに重きを置いている。この日のようにどんな形でも勝てば、試合数が増え、試合勘も養える。

全仏特有の日曜開幕で、この日試合があった選手は次戦まで2日空く。482日ぶりの5セット試合を戦った錦織にとっては幸運の2日間だ。心身ともに疲労したため「しっかり休みたい」。次戦のトラバグリアとは初対戦となる。