大相撲の高田川親方(元関脇安芸乃島)が1日、新型コロナウイルスに感染して5月13日に亡くなった弟子の勝武士(しょうぶし、本名末武清孝=すえたけ・きよたか)さんについて、日本相撲協会を通じてコメントした。

高田川親方は「大切な家族であり弟子である勝武士が新型コロナウイルスによる多機能心不全で亡くなりました。医療機関が切迫した時期と重なっていましたが、相撲協会の対応もあって重篤化する前に入院できたので、元気で帰ってきてくれるものと信じておりました」と、勝武士さんが入院した当時の心境を吐露。「しかし容体が急変し、1カ月以上の闘病の末帰らぬ人となりました。私の体調回復を待っていたかのような最期でした」と話した。

勝武士さんとの思い出も語った。勝武士さんは明るい性格で、巡業や花相撲では知られた人気者だった。相撲の所作や禁じ手などを力士2人が面白おかしく実演する「初っ切り」を担当することが多く、ファンを楽しませた。高田川親方は「勝武士は相撲のみならず、初っ切りでも活躍したムードメーカーでした。私が部屋を興す前、彼が中学校1年生の時に初めて会い、1番最初に声をかけたのが勝武士でした」と最初の出会いを回想。「『俺が親方の本当の1番弟子だ』といつもうれしそうに話していた顔が忘れられません」と、弟子との別れに胸を痛めた。

高田川部屋の力士は7月場所(19日初日、東京・両国国技館)に向けて調整を進めているという。「誰からも愛される大事な家族を失った悲しみは言葉にできません。しかし前を向き、これからも勝武士と一緒に部屋一丸となって頑張っていこうと最期のお別れでみんなで誓い合いました。現在力士たちは意欲的にトレーニングに取り組んでおり、7月場所に向けて徐々に本格的な稽古を再開する予定です」と決意。最後に医療従事者やファンに向けて「大変感謝しております。本当にありがとうございました」と感謝の意を表した。