東京五輪・パラリンピックの開閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクター佐々木宏氏(66)が17日、辞意を表明した。開会式に出演予定だったお笑い芸人、渡辺直美(33)の容姿を侮辱する演出案を考案していたとこの日、文春オンラインが報じていた。

記事によると佐々木氏は演出チーム内のLINEに渡辺が豚に変身する演出案を送っていた。豚にかけて「オリンピッグ」などと書き、豚の絵文字まで使っていたがチーム内の批判を浴び、撤回に追い込まれた。

組織委は17日深夜、佐々木氏の謝罪文を公表。文書には「あと数カ月に近づいた五輪パラの開閉会式を日々、死にものぐるいで準備するメンバーにも、本当に申し訳ない。先ほど、橋本会長にお電話で辞意をお伝えしました。渡辺さんにはおわびをしてもしきれないと思っています」と書かれていた。

女性蔑視発言の責任を取り辞任した森喜朗前会長の問題からわずか1カ月後に発覚した、開閉会式演出トップの差別問題。関係者によると組織委はこの日、記事の内容について国際オリンピック委員会(IOC)と協議したという。取材に応じた組織委幹部は「豚の絵文字まで使われていて人権問題にもつながり、森前会長の時より深刻。IOCもかばってくれない」と指摘。その上で「追い込まれて辞めるより本人が早々に決断すべきだ」と話していた。18日正午に橋本聖子会長と武藤敏郎事務総長が会見する。

開幕が4カ月後に迫る中、式典演出のトップが交代する異常事態に開閉会式担当者は「開閉会式は大変なことになる」と青ざめた。

また文春の記事には、前演出チームだった振付家のMIKIKO氏から企画を乗っ取ったという趣旨が書かれていたが、佐々木氏はその点については「事実ではない」と否定した。