初の世界女王が懸かる紀平梨花(18=トヨタ自動車)が2位発進した。冒頭のトリプルアクセル(3回転半)など3つのジャンプを着氷させて79・08点。81・00点の首位アンナ・シェルバコワ(16=ロシア連盟)を1・92点差で追う。坂本花織(20=シスメックス)は70・38点で6位、宮原知子(22=関大)は59・99点で16位。フリーは26日(日本時間27日)に行われ、日本勢上位2人の合計順位が「13」以内で、22年北京五輪の最大3枠獲得となる。

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すぐに表情を緩めることなく、演技後の紀平が右手を握った。最終組ではシェルバコワが会心の滑りを見せ、かつて練習を共にした宮原が苦しんだ。滑走順は大トリ。緊張の中で冒頭の3回転半をわずかな回転不足ながら着氷させ、スピン、ステップを最高のレベル4でそろえた。「たくさんの方のおかげだな。感謝してやろう。この場で恩返しするしかない」。新型コロナウイルスの影響で今季2戦目。この場に立てた感謝を、1つの演技に込めた。

感覚が繊細な紀平にとって、1つの懸念材料が消えていた。昨年末の全日本選手権後、1月の米国合宿出発までに向き合ったのがスケート靴選び。3回転半を踏み切る左足は消耗が激しく、フリーでは4回転サルコーを組み込む。ジャンプの難度が上がるほど、靴の悩みも深くなる。それでも大会前には「左1足、右1足はアクセルもサルコーも跳びにくくない靴を用意できた。靴がポイントだった。全日本よりはアクセルを跳びやすくなっている」。気持ちの面で楽になった。

22年北京五輪で金メダル獲得を掲げ、今大会はその試金石となる。「フリーになると、体力面もきつくなってくる。本当に集中しないと、どうなるか分からない」。喜ぶのはまだ早い。

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