【アナハイム(米カリフォルニア州)23日(日本時間24日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、“緊急事態”で期待に応えた。アスレチックス戦で先発メンバーから外れ、ベンチ待機。1点差に迫った7回1死満塁、「代打大谷」のコールにやや遅れが生じた。満を持して登場し、右翼へ貴重な同点犠飛。マドン監督は「彼は(室内の)打撃ケージにいた。(想定より)1~2イニング早かった」。想定外のタイミングでの起用を「右翼を守れる大谷」が可能にし、今季初めて、勝利の瞬間を外野から見届けた。

試合前時点では、マドン監督は大谷に、守備につく可能性を伝えていなかった。「DH(の打順)で打たせようと話していた」。しかし、2点を追う7回1死一、三塁での「2番DH」の打順では、まず左打者ロハスを最初のカードとして切った。適時打で1点差とし、なお1死満塁の絶好の同点機。ここで、4番中堅レガレスに代えて切り札・大谷を切り、打った2手は見事、的中した。

大谷をDHではなく、野手の打順で使えたことが大きかった。これまで代打起用した際は、守備のできる野手を別で備えさせ、代打後の大谷と交代させる必要があった。だが、この日は控え選手を使い切っており、7回に大谷を起用すれば8、9回と守備につかせるしかない。マドン監督は「彼が右翼を守れるかどうか聞いた。『もちろん』と言ってくれた」。今季既に3度の外野守備の経験が、指揮官の決断を後押しした。

代打大谷の投入どころの制約が緩和された一方で、蓄積疲労の不安は残る。この日はスタメンから外れ、翌日のチーム休養日と合わせて「2日間休みを与えたかった」とマドン監督は話していた。最終的には代打→右翼で試合終了まで出場。想定外の事態にも大谷はきっちり役目を果たした。