仰天の3発だ! 阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が初の1試合3本塁打を決めた。「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦で2回に先制の11号ソロ、6回は12号ソロ、そして9回に決勝の13号3ランを放った。1戦3発は、新人では史上4人目、巨人長嶋以来という快挙。3安打5打点でチームを12球団最速の30勝に導き、本塁打キング争いでもトップに並んだ。怪物ルーキーが山賊たちを黙らせた。

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3本目のアーチが試合を決めた。佐藤輝は確信を持って歩き出した。同点の9回2死一、三塁。ギャレットの154キロを振り抜いた瞬間、シーソーゲームに終止符が打たれた。1試合3発は自身初、新人では58年長嶋(巨人)以来という歴史的な大暴れ。矢野監督はしみじみと言った。「いやぁスゴかったなぁ…。もう、これはもう俺の生涯忘れることできへん試合の1つになるな…スゴかった」。

“輝祭り”の幕開けは2回だった。高橋の外角フォークに体勢を崩されながら右手1本で拾い、低い弾道のままバックスクリーンに吸い込まれた。打たれた高橋も打球をじっと見つめ、驚きの表情を浮かべた1本。「早めに追い込まれてしまったので、回の先頭でしたし、粘って食らいついていった結果、ホームランになってよかったです」。13試合ぶりとなる先制ソロ。長いブランクを技ありの一打で乗り越え、勢いに乗った。

2発目は6回。内角144キロ直球に詰まらされながら左中間席へ運んだ。そして「一番感触がよかった」という締めの3発目は、右中間席奥のコンコースまで届く完璧な当たり。「みんなでつないだチャンスだったので、何とかここで1本という気持ちでいきました」。殊勲のアーチに笑顔を見せた。

モノノフ(ももいろクローバーZのファン)の佐藤輝にとって、メットライフドームは「聖地」だ。ももクロが初のドームライブを行うなどゆかりのある球場で、ヒーローインタビューではあらためて、「メットライフで打ててよかったです」と笑った。29日には「推しメン」の高城れにが玉井詩織とともに同球場でラジオ中継のリポーターを務める。来場前日にどでかい前祝いとなった。

13本塁打は巨人岡本和、ヤクルト村上と並び、リーグトップ。球団新人では48年別当と並ぶ3位で、左打者では佐藤輝がトップを独走している。残り2試合、大好きなもう1つの「聖地」で打ちまくる。【林亮佑】

◆58年長嶋の1試合3本塁打 6月22日大洋戦(川崎)の3、6回に3ラン、8回にソロで計7打点。3本とも左翼へ場外弾を放ち「いやあ、今日はおかしいですよ。あまりにもツキすぎです」。