南アフリカがスクラム、空中戦で優位に
ラグビーワールドカップ日本大会決勝が2日に行われ、南アフリカ代表が32対12でイングランド代表を破り、3度目の優勝に輝いた。世界一を決める戦いで勝敗を分けたポイントはどこにあったのか? 元日本代表の藤井淳氏(東芝)に話を聞いた。
――南アフリカの優勝となりましたが、今日の試合のポイントはどこにあったでしょうか?
まずはセットプレー(スクラム、ラインアウト)ですね。南アフリカがスクラムであれだけ優位に立って、ほとんどのスクラムでペナルティを狙って取っていました。
南アフリカは毎回良いヒット(スクラムを組み合う際の当たり)ができているわけではないのですが、組んでから地力で押していったように見えました。FW第1列だけでなく、後ろの選手の重さも感じるスクラムでした。
南アフリカが自信を持ってスクラムを組んできて、実際にペナルティを取る展開になったことは、イングランドにとって非常に厳しかったと思います。
――両チームともにキックをうまく使うチームですが、その部分での戦いはいかがでしたか?
序盤から両チームともにコンテスト(相手と競る)キックを多用してきたのですが、この部分の攻防でも南アフリカの精度の高さが光りました。SHデクラーク選手、SOポラード選手のキックの正確さはもちろんですが、WTBマピンピ選手のキャッチが素晴らしかったです。イングランドのキック処理が悪かったわけではなく、しっかり捕りにいっているんですが、遠くから走ってきているマピンピ選手の方が高く飛んでキャッチしていました。高く上がっているボールを見ながら相手も近づいてくるのは恐怖心がありますし、非常に難しいプレーですが、それだけにチームを盛り上げて、勢いをつけることもできます。
空中戦で勝てなかったことでイングランドの戦い方は制限されました。南アフリカにとってマイボールではマピンピ選手、相手が蹴ってきた時はNo.8フェルミューレン選手、FBルルー選手がしっかりキャッチできたのはこの試合の大きなポイントだったと思います。
イングランドを抑えた南アの強力なタックル
――イングランドは攻め込む場面もありましたが、トライには届きませんでした。
もっとも惜しかったのは前半30分過ぎの連続攻撃で、最終的にはPGの3点を取ることができましたが、トライを取れませんでした。
イングランドもフィジカルが強いチームで、これまではアタックで前に出ていたのですが、今日は南アフリカの低く突き刺さるタックルと、上半身を抑え込むタックルのダブルタックルに押し返されました。
イングランドとしてはラックから早くボールを出して、相手DFが追いつかない状況を作りたいのですが、接点で押し返されるのでボールを出すのがゆっくりになり、その間に南アフリカのラインが整ってしまう……という状況でした。南アフリカのフィットネス、集中力の高さが一枚上だったと思います。
また、イングランドにとっては序盤のミスの多さが痛かったです。緊張からだと思いますが、パスミスなどが重なりました。その間に大きなリードを奪われたわけではないのですが、試合の流れを南アフリカに渡してしまいました。
https://sports.yahoo.co.jp/m/column/detail/201911020005-spnavi
2019-11-02 13:04:47Z
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