日本相撲協会は29日、東京・両国国技館で横綱・白鵬(36)=宮城野=の年寄資格審査委員会を開いた。白鵬側はこの日、協会に引退届を提出。年寄「間垣」の襲名を目指すが、通常、スムーズに承認されるはずの審査委では紛糾する極めて異例の事態に。白鵬の過去の問題行動も踏まえて厳しい意見も出たという。最終判断は30日に開かれる理事会の判断にゆだねられることになった。
現在、審査委は各一門からの親方衆5人と外部委員1人の計6人で構成されている。会合を終えたある出席者は、白鵬の年寄襲名に関して「(賛成で)全会一致ではないが、否決もされていない」と明かした。
以前は年寄の襲名に際して理事会の承認のみで決まっていたが、2014年に相撲協会が公益法人化してからは審査委が設置され、同委での承認後、理事会で最終承認を得る形に変わった。通例であれば審査委の会合は「今まではスムーズに運んでいた」(出席者)と話すように、すんなりと承認される流れだった。
ただ今回の白鵬の場合は状況が違った。ある出席者は「やはり品格が問題になった。厳しい意見が出たのは事実だ」と明かした。史上最多45回の優勝など、数々の記録を打ち立てた。また自身の相撲大会創設や、慈善活動にも力を入れるなどの功績を残してきた。
一方で、土俵内外での行動が物議を醸すことも多かった。立ち合いでの張り手やかち上げ、ダメ押しなどでは横綱審議委員会から苦言を呈されてきた。また15年初場所後の審判部批判で厳重注意。19年春場所千秋楽では、観客を促して三本締めを行った問題で「けん責」を受けるなどした。
過去の問題行動を踏まえ、この日の審査委では厳しい意見も出るなど紛糾。関係者によると、白鵬は将来的に部屋を持ち師匠となる夢を持っているが、その資質を疑問視する声なども上がったという。「いろいろな意見を集約して(30日開催の)理事会にあげる」と出席者の一人。話がまとまらない異例の事態となった。
一方である出席者は、白鵬の年寄襲名に「決めるのは理事会。否決はされないだろう」との見通しは示した。また、著しい実績を残した力士が引退後に現役名のまま親方になれる「一代年寄」については議論が出なかったという。
◆白鵬の年寄名跡襲名の流れQ&A
Q 今後どうなる?
A 白鵬は年寄名跡取得に必要な日本国籍を2019年9月に取得。年寄資格審査委員会を経て、30日の理事会で襲名が認められれば、宮城野部屋付きの「間垣親方」として後進の指導にあたる。将来は独立する意向を持っており、都内に部屋を構える準備中。宮城野親方(元幕内・竹葉山)が来年8月に定年の65歳になって師匠を退いた後は、幕内・石浦、十両の炎鵬と北青鵬らの力士を譲り受ける見通し。
Q 一代年寄は?
A 過去に大鵬、北の湖、千代の富士(辞退)、貴乃花の各横綱に贈られた「一代年寄」は、4月の有識者会議で協会の定款に規定がないことなどを理由に見直しが提言された。そのため白鵬は史上最多の優勝45度を誇るが、年寄「白鵬」が認められる可能性は低い。
Q 「間垣」とは?
A 105ある年寄名跡の一つで、2013年12月までは元横綱の2代目若乃花が襲名していた。その後は元小結・時天空、元幕内・土佐豊が襲名したが、前時津風親方(元幕内・時津海)の退職により土佐豊が時津風を継承し、空きとなっている。
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2021-09-29 21:00:00Z
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