大技で逆転V「メダルは重い。1トン」
29年前の“あの人”のような名言は出なかった。 「うれしいです」 それが自然体でいい。西矢の「笑顔で楽しく」のモットー通りに、愛くるしい13歳のゴールデンスマイルが真夏の有明の空の下で弾けた。 バルセロナ五輪で岩崎恭子氏は「今まで生きてきた中で一番幸せです」と、わずか14年の人生を総括したが、西矢は、「最新(年少)記録だと思うんですよ。金メダルの。それがうれしいです」と、29年ぶりの記録更新を喜んだ。 テレビメディアの取材には「金メダルは重いです。重さ?1トンです」と、関西女子らしくジョークで返して笑いを誘った。 予選を2位で通過した西矢は、決勝では、45秒間、自由に滑る最初の「ラン」では2回とも終盤に転倒して得点が伸びなかった。逆転を狙った「ベストトリック」でも1本目、2本目と続けて失敗しポイントにならなかった。 「途中までは勝てないと思っていたけど、周りの人が励まして“いけるよ”と言ってくれてうれしかったです」 もう後がない勝負の3本目にレールの奥に金具部分を滑らせる「フロントサイド・フィーブルグラインド」を成功させ、4.15をマークした。続く4本目にボードを空中で180度回転させてから滑り降りる大技の「フロントサイド・ビッグスピン・ボードスライド」を成功させ4.66でトップに立った。残すは1本。 ブラジルの西矢と同じ13歳の天才少女、ライッサ・レアウが「レッツゴー!」と先に出たが転倒した。この時点で西矢のメダルが確定した。続く中山は西矢と0.77差で逆転金メダルの可能性があった。「1位になってやろう」と5本目に挑んだが失敗。それでも「ベストトリック」の2本目に手すりに前部車輪の金具を斜めにかける得意技「フロントサイドKグラインド」で叩き出した5.00が輝き、堂々の銅メダル。 「全然、実感がわかない」という。
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2021-07-26 22:15:06Z
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