卓球のオリンピック(五輪)シングルス選考レースが終わった。内定発表は来年1月6日だが、選考基準の世界ランキング日本人上位2人は今大会で決まった。同ランキングは、国際大会で獲得したポイントの高い方から8大会分の合計点に、今年から新設された「T2ダイヤモンド」の2大会のポイントを加算して決められる。

そのT2が選手を苦しめた。同大会は決められた期間内の国際大会獲得ポイント上位者と開催地枠の16人が出場できる仕組み。この大会で問題が発生した。当初3大会実施する予定が、開催地が決まらず急きょ第2回が中止となった。

その大会で出場権があったのは水谷隼で、丹羽孝希は出られなかった。出場だけで400点、優勝で1000点というボーナス点が、選手とは何の関係もない理由で、水谷には入らなかった。さらに11月に行われたT2で丹羽は、上位者の辞退により繰り上げ出場。運も味方に付けた。

水谷もこの日、精神的につらかった時を聞かれ「T2が最初なくなった時。かなり心は折れた。あの400点があれば…。前回のT2でも丹羽が出られたことによって、その500点もある。自分の努力と関係ないところで決まったというのが悔しい」と本音をこぼした。

T2は試合が開始して24分が経過すると5点先取制になり、ジュースもなしという、通常の卓球とは違うルールで実施した。五輪とは違うルールの大会を、五輪選考レースに組み込むことに反対する日本協会の関係者もいた。

選考レースが一区切りし、T2の中止などで翻弄(ほんろう)された選手たちに対し、協会幹部は「申し訳なかった」と語った。今回のケースは選手に否はない。それでも選ばれる選手と、そうでない側に遺恨が残る結果となってしまった。