4時間56分の死闘だった。今季チーム2番目に長い試合。阪神が今季4度目の引き分けで耐え、ゲーム差なしの首位を守った。岡田彰布監督は「あの1球だけやなあ。岩貞の初球な。もうちょっとなあ、慎重に入ったら良かったけど、あの1球だけやったよ」と回顧。8回、試合を振り出しに戻された岩貞の1球を悔やんだ。

1点リードの8回、1失点で試合を作った先発青柳から継投に入った。2番手加治屋は先頭の代打上本に右前安打を許したが、続く代打磯村の投前バントを判断よく二塁へ送球し、進塁を許さなかった。「二塁いかんと一塁で止めたからな。よっしゃと思ったけどな」と指揮官。ピンチを拡大せず、1番小園から左が並ぶ打順に予定通り左腕岩貞を投入した。

だが、初球の外角147キロ直球だった。小園にミートされ、左中間を破られた。一塁から代走羽月が同点のホームイン。青柳の勝ち星も消えた。岩貞は「抑えたいと思っていったんですが、失投というか、考えが甘かったというか、残念な投球でした」と肩を落とすしかなかった。

それでも岩崎、浜地、桐敷、島本と無失点でつなぎ、引き分けに持ち込んだ。11回1死一、三塁、12回2死一、三塁でもホームを踏ませなかった。岡田監督は「負けてないんやから。そんなん。勝ち負けなんか今言う必要ないって、7月で」と負けなかった事実に価値をつけた。

30日は長期遠征前最後の甲子園ゲーム。「そら結果的に勝ったら、気持ちよく行けるだけの話。高校野球の決勝じゃないんやで」。勝負はまだ先。指揮官はそう言わんばかりだった。【石橋隆雄】

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