ラ・リーガ第23節、ヘタフェ対レアル・ソシエダが現地時間14日に行われ、0-1でソシエダが勝利した。久保建英は58分に投入されたが、チームは4試合連続で無得点に終わっている。得点力不足解消の切り札として加入したが、チームの現状はあまりにも苦しいものとなっている。(文:加藤健一)
2021年02月15日(Mon)9時30分配信
久保建英を先発から外した意図は?
1点ビハインドで迎えた58分、ベンチスタートだった久保建英に出番が与えられた。カルレス・アレニャとともに投入され、久保は右サイドに入っている。
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「彼ら(久保やアレニャ)のせいではないが、我々は守備のレベルを落としてしまった」
アスレティック・ビルバオとセビージャに計8失点を喫したヘタフェは久保とアレニャをベンチに置き、前節から慣れ親しんだ4-4-2に布陣を戻している。試合開始から高い強度を保って時計の針を進め、久保とアレニャを後半に入れて勝負をかけるというのが狙いのようだった。
守備から入るというホセ・ボルダラス監督の狙いはうまくいっていた。アラン・ニョムとマルク・ククレジャの両サイドハーフは献身的にDFラインの両脇のスペースを埋め、レアル・ソシエダにチャンスを作らせなかった。30分のファーストシュートを決められて先制点を献上したが、それ以外はよく戦えていたと思う。
前半のソシエダはアンカーのイジャラメンディを最終ラインに落として3枚でボールを回していた。ヘタフェの2トップに対して数的優位を作るのが狙いだったが、前線では1対1の状況が生まれ、それをヘタフェにことごとく潰されていた。
ハーフタイムを経て、ソシエダは修正を加える。イジャラメンディを落とさず、サイドバックを低めの位置に抑えた。ヘタフェのサイドハーフはソシエダのサイドバックを監視しているので、必然的に高い位置に出る。そこで生まれたサイドのスペースで数的優位を作りながらゴールを目指した。
投入のタイミングは悪くなかったが…
試合途中までのゲームプラン自体は悪くなかった。セビージャ戦で主将のジェネが退場処分を受けたことでチームが失っていた勇気を、ソシエダ戦では取り戻していたように見えた。またも退場処分を受けたのはどうかと思うが、マネジメントという点でボルダラス監督の手腕は発揮されている。
久保が投入される直前の数分間、ヘタフェがボールを持つ時間帯があった。ボールを失ってカウンターを受けるより、ボールをヘタフェに預けてミスを待った方が得策だとソシエダは考えたのだろうか。このタイミングでヘタフェはアレニャと久保を投入し、ボール保持からの攻撃に厚みを加えようとする。
アレニャはこれまでトップ下でプレーすることが多かったが、この日はダブルボランチの一角に入った。低い位置でボールを引き出すことによってボールタッチ数は増え、ヘタフェの攻撃は少し改善されたように見えた。
久保は右サイドで起点となり、チャンスも演出した。しかし、レアル戦と同じように久保は徐々に孤立する。データサイト『Whoscored.com』によれば、久保のボールタッチ数は12回で、アディショナルタイムを含めた最後の25分ではわずか6回に留まった。
久保を孤立させたチームは得点を奪えぬまま90分の戦いを終えている。無得点はこれで4試合連続となり、アラベス戦以来3試合連続で枠内シュートを放てなかった。
ヘタフェが抱える根深い問題
後半に限ればヘタフェはボール保持率で上回っていた。時間の経過とともにソシエダは自陣で守る意識が高くなったが、後半に放ったヘタフェのシュートは3本。フィニッシュに持ち込むどころか、アタッキングサードまで満足に運べない。
ヘタフェにはまともにボールをつなげる選手がいなかった。前半のパス成功率は56%で、2本蹴ったら1本は相手に渡っているという計算になる。ソシエダの素早いトランジションディフェンスを受けると、簡単にボールを明け渡してしまった。
先発メンバーでパス成功率が70%を超えたのはマウロ・アランバッリ(85%)ただ1人。久保(87.5%)とアレニャ(75%)の投入によって多少は改善されたが、アラン・ニョムとククレジャが50%代では、カウンターの機会すら得られないのも仕方ない。
相手のプレスを回避するためのチームとしての仕組みはない。最終ラインの選手はプレスを受けると、簡単にロングボールを蹴ってしまう。それに前線の選手が反応するわけでもないので、カウンターにつながることもない。
これでは得点が奪えるはずもないし、チャンスすら作れない。選手云々の問題ではなく、チームとしての戦い方がなさすぎる。久保やアレニャの個性が活きないのも当然である。
セビージャ、レアル、ソシエダのような力のある相手に対して劣勢になるのは仕方ない。しかし、3季連続で8位以内に入っているチームとしてはあまりにも望みがない。いまだ改善の兆しは見えず、降格圏とは3ポイント差まで迫っている。
(文:加藤健一)
【了】
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2021-02-15 00:30:55Z
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