堀琴音(26=ダイセル)が昨年7月ニッポンハムレディース以来のツアー2勝目を飾った。プロ転向後ツアー186戦目にして初めて単独首位で迎えた最終日、一時は内田ことこに首位を譲ったが、3バーディー、1ボギーの70で通算9アンダー、207にまとめ、西村優菜、葭葉ルミに1打差で逃げ切った。プロ転向した14年から世話になる大溝雅教キャディー(56)と待望のコンビ初V、姉奈津佳に並ぶ2勝目となった。

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会見の第一声は、早口だった。「幸せいっぱいです…って何か結婚会見みたいですね、ハハハ」。生来のせっかちさが出て、堀が照れ笑いを浮かべた。ただゴルフは大人になった。強くなった。

初めて単独首位で迎えた最終日は「ハラハラドキドキ」だった。スコアを伸ばせず、西村、葭葉に追いかけられ、13番終了時に内田に首位を譲った瞬間もあった。しかし、16番パー5で「バーディーを取れるのはここしかない」と3メートルのチャンスを沈め、再び単独首位へ。17番で2メートルのパーパットを決めた。1打リードで迎えた最終18番で10メートルのバーディーパットをOKに寄せた。最後も「ハラハラドキドキ」を乗り切った。

初優勝はハウスキャディーと手にした。大溝キャディーと勝ちたかった。「お母さんと同い年。30歳も年上なのに、すごく謙虚で選手第一。大好きです」。20年8月NEC軽井沢72で、初期の胃がんが判明しながらバッグを担いでくれた。2週後、札幌市の病院で手術を受けた大溝氏を見舞った。「大溝さんが担いで勝ってない人の方が少ない。私がその1人なのが嫌だった。“私のせい、弱いからだ”と思ってた」。片山晋呉、福嶋晃子、藤井かすみ、小平智らの優勝を支えた同氏には術後初となる32勝目だった。

姉奈津佳にも並んだ。「私も初優勝して、姉妹で勝てたけど、やっぱり姉は2勝だし。もやもやじゃないけど、2勝と1勝じゃ響きが違うし」と喜ぶ。初優勝は2打差2位から追いつき、プレーオフで勝った。今度は逃げ切った。昔はミスすれば怒り、イライラしたが、今は違う。「初優勝とは違います。今回は自信になる優勝です」。相棒の期待にこたえ、姉に肩を並べた堀は誇らしげだった。【加藤裕一】

◆堀琴音(ほり・ことね)1996年(平8)3月3日、徳島市生まれ。ゴルフは7歳から。滝川二高でJGAナショナルチーム入り。14年下部ツアーで当時2人目のアマチュアV。同年プロテスト合格。18年に3季保持したシードを喪失、21年7月ニッポンハムレディースでツアー初優勝、賞金ランク27位でシード再奪取。姉は堀奈津佳。165センチ、56キロ。

▽6年ぶりVはならず、1打差の2位の葭葉 優勝争いの自覚を持ってのプレーは久しぶり。正直、心の持ちようが分からなかった。この気持ちを忘れる前に優勝できるよう頑張りたい。

▽5つ伸ばしたが、1打差2位の西村 開幕から3試合いい位置でプレーして優勝できないのは、ゴルフの神様にもっと練習しろと言われているのだと思う。また頑張りたいです。