巨人亀井善行外野手(39)が21日、都内ホテルで会見を行い、今季限りで現役を引退することを表明した。04年ドラフト4巡目でプロ入りし、巨人一筋17年目の今季はここまで91試合に出場し、打率2割1分6厘、3本塁打、17打点。自身の中では5月に引退を決断し、1人孤独に葛藤しながらシーズンを戦ってきたことを明かした。本拠地最終戦となる23日ヤクルト戦で引退セレモニーが開催される。

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亀井が胸に閉じ込めていた思いをはきだした。「1人で悩みました。家族にも5月に決めたときは怖くて言えなくて。本当に悩んだ。何て言うか…。妻には『今年でもしかしたら覚悟はしておいてくれ』とは伝えたんですけど、ちょっと濁した感じで。はっきりは言えなかったです」。うそ偽りはない。9月に原監督、球団に意思を伝えるまで、あえて孤独を選んだ数カ月の苦悩を赤裸々に明かした。

思い描くプレーに妥協を許さない。心技体。土台で支える体が心と技に呼応しなくなった。「股関節、内転筋、肉離れを3カ所で発症し、まひ症状が出てしまった。それが治らなかったと。今でも治ってない」と、打撃の根幹を担う軸足となる左足の状態が戻らなかった。けがと戦い続け、その度にはい上がってきた経験値をもってしても今回ばかりは打ち勝てないと自ら判断を下した。

プロ1年目の05年。清水、仁志、ローズ、清原、小久保、高橋由、阿部…、そうそうたる顔ぶれが集う巨人の門をたたいた。「とてつもない人たちばかりで、野球どころじゃないというか雑用係というか。オープン戦で初ヒットを打ったときに清原さんが一番に出迎えてくれた。本当に温かい方々ばかりだなと。これでプロ野球生活1歩踏み出せたなと思いました」と若き日の光景が鮮明に残る。

世界一、日本一、リーグ優勝と栄光を勝ち取ってきた17年間の日々は重圧に重圧がかぶさった。「プロに入ってから、ほとんど楽しいと思ったことはなく、9割は苦しかったです」は紛れもない本音。現役生活の最後は苦境からはい上がる「下克上・日本一」への戦いを残す。「泣いても笑っても残り少ないので、体は壊れても良いので思いっきりバットを振りたいと思います」。亀井は我武者羅に追いつづける。【為田聡史】

◆亀井善行(かめい・よしゆき)1982年(昭57)7月28日、奈良県生まれ。上宮太子では投手として3年のセンバツに出場(1回戦敗退)。中大入学後に野手転向。04年ドラフト4巡目で巨人入団。20年に年長3位の37歳1カ月で通算1000安打。今年3月26日DeNA戦で史上初の開幕戦代打サヨナラ本塁打。通算サヨナラ本塁打7本は巨人で王(8本)に次ぐ2位タイ。6月には年長4位タイの通算100本塁打。09年ゴールデングラブ賞受賞。09年WBC出場。13年に登録名を亀井義行から亀井善行に変更した。178センチ、82キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1億円。

▽阿部1軍作戦コーチ(中大の後輩でもある亀井の引退に)「よく頑張ったなと。まだクライマックスシリーズから下克上を目指して『背番号9亀井』を見届けてあげたいなと思います」

▽DeNA三浦監督「痛いところでやられた印象が残っている。開幕からですが、勝負強い打者でした」