陸上の東京オリンピック代表選考会を兼ねた日本選手権が24日、大阪市のヤンマースタジアム長居で開幕した。男子100メートルの桐生祥秀(25)=日本生命=は準決勝を突破し、25日夜の決勝に進んだ。決勝で3位以内に入れば代表に決まる。
波瀾(はらん)万丈の五輪イヤーを送ってきた桐生が、右アキレスけんに不安を抱えながらも決勝へと駒を進めた。
今季初戦となった3月の日本室内選手権(大阪)で、桐生は左ひざ裏に違和感を覚えて決勝を棄権した。5月の東京五輪テスト大会(東京)では、予選でフライングにより失格。「やってはいけないミス。気負いすぎた」と悔しがった。
今月6日の布勢スプリント(鳥取)は、日本選手権に向けて良いイメージをつかむために予選は出場。ライバルの山県亮太(セイコー)が日本新記録(9秒95)を樹立した決勝は、右アキレスけん痛のため棄権した。5月後半の練習から違和感があり、後藤勤トレーナーは「(練習や試合を)コントロールしないと選手生命を奪われるので」と説明。桐生には「(予選だけの出場は)勇気ある撤退」と話したという。
ここまでの調整は、「痛みを取ることを最優先にやった」と明かした桐生。それでも完治はしておらず、大事な走り込みもできない状況だった。
それでも予選では向かい風0・4メートルの中、全体トップの10秒12で駆け抜けた。4年前に日本選手初の9秒台を出し、歴史の扉を開いた25歳。2大会連続の五輪出場を懸け、勝負の舞台に上がる。【新井隆一】
陸上の東京オリンピック代表選考基準
個人種目の代表枠は最大3。世界陸連が定めた参加標準記録を対象期間(2019年5月1日~20年4月5日、20年12月1日~21年6月29日)内に突破した選手が日本選手権で3位以内に入れば、代表に決まる。
ただし男子短距離については、日本陸上競技連盟は400メートルリレーに向けた調整を優先しており、100、200メートルの両種目で代表権を獲得した場合でも、1種目しか出場できない可能性が高い。
日本選手権で代表3枠が決まらなかった種目は、複数のレース成績に基づく世界ランキングで参加資格を得た選手らが、7月上旬に代表に追加される。
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2021-06-24 10:47:58Z
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