18歳になったばかりの青年は、海を渡ることを決断した。
桐生第一高3年の若月大和は、内定先の湘南ベルマーレからのレンタル移籍という形で、スイス・スーパーリーグのFCシオンに移籍することとなった。
「海外でプレーをすることはずっと自分の夢でしたし、その一方でベルマーレにもお世話になっていて、Jリーグなのか、海外なのか、かなり悩みました。でも、両親を始め、ベルマーレ、学校などの周りの人に相談して迷惑をかけながらも、いろいろ考えさせてもらいました。
ただ、悩みながらも、海外でプレーしたいという気持ちだけは1ミリも揺るがなかったんです。
ベルマーレが真っ先に僕に声をかけてくれて、キャンプや練習にも参加させてくれただけでなく、公式戦にまで出させてもらったからこそ、こうしてU-17W杯で活躍することができて、海外の話がたくさんくるようになりました。
それは心から感謝をしていますし、ベルマーレでプレーしてから海外という選択肢もありましたが、目の前にある掴める夢をどうしても逃したくないという気持ちが強かったんです」
若月の速さに注目した湘南。
もともと、彼はまったくと言っていいほど無名の存在だった。しかし、細かい動き直しをしながら、ずば抜けたスピードを操れる稀有な才能を持つ彼に、注目が集まるのはそう時間はかからなかった。
桐生第一が悲願のプリンスリーグ関東に昇格を果たした2018年、注目度が上がる舞台で彼は輝きは一層増した。Jクラブのスカウトが視察する試合では、多彩なゴールアプローチを披露。動き出しが早く、ゴールまで曲線的、ときに直線的にも突き進む若月のプレーは、湘南の牛島真諭スカウトの目に止まった。
真っ先に動いた湘南は夏にはすでに練習参加を要請。'19年1月のトルコキャンプにも同行させた。そして、3月8日には2020年シーズンからの加入内定を早々に発表。Jリーグ特別指定選手として、ルヴァンカップとJリーグでデビューを飾った。
そして、若月の名が一躍有名となったのが10月末から行われたU-17W杯だ。
「U-17W杯は、海外に行くための第一歩と捉えていました。チームとして優勝という目標がある中で、個人的には世界に自分のことを証明するという気持ちが強かった」
西川潤(セレッソ大阪)らと共に早生まれの選手として出場すると、初戦のオランダ戦で2ゴールとPKを獲得。全ゴールに絡む活躍で、3-0の快勝に貢献した。ラウンド16でメキシコに敗れたが、3試合にスタメン出場し、持ち前の変幻自在のスピードとシュートセンスで世界を沸かせた。
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2020-01-28 10:00:00Z
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