【ウィンブルドン=吉松忠弘】世界7位の錦織圭(29=日清食品)がツアー本戦通算400勝を達成した。過去4戦全勝で、同71位のジョンソン(米国)に、6-4、6-3、6-2の1時間50分でストレート勝ち。錦織が4回戦まで1セットも失わないのは、準優勝した14年全米、15年全仏に続き4大大会3度目。次は2年連続の8強をかけ、同33位のシュトルフ(ドイツ)-同58位のククシュキン(カザフスタン)の勝者と対戦する。

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錦織に死角なし! 3戦連続ストレート勝ちで、1セットも落とさずに16強入りだ。失セットなしでの16強入りは、ウィンブルドンでは自身初だ。「どの試合も集中している。いい形で勝てた」。マッチポイントを奪うと、錦織は何度もガッツポーズを繰り出した。

立ち上がりは硬かった。過去4戦全勝の相手で、16強入りの試合だ。勝って当然の重圧の中、第2ゲームで最初のサービスゲームを落とした。0-3となったが、そこからエンジン点火。一気に5ゲームを連取し、最後までたたみかけた。

前日の5日は、練習をせず休養した。以前は、どんな時でも、練習を休まなかった。しかし、年齢を重ね、経験を積み、考え方も変わった。全仏で右上腕を痛め前哨戦は欠場した。右上腕には、まだテーピングがある。ただ「体は今のところ大丈夫。悪くないチョイスだった」と、体力を温存し、上腕を休めるためにも、最適な休養だった。

錦織が、ツアー本戦で初勝利を挙げたのは07年7月のインディアナポリス選手権だ。それ以来、約12年をかけて、400勝にたどり着いた。「ちょっとうれしいかな」。もちろん、日本男子ではダントツの歴代最多だ。

4大大会アジア男子史上初の決勝に進んだ14年全米も、3回戦まで1セットも落とさなかった。流れは完全に追い風だ。次戦の相手は、どちらが上がってきても強敵だが、今の錦織は、まだまだエネルギー満タン状態。勝ち星をまだまだ積み上げる。