東京オリンピックの聖火が20日、ギリシャから空輸され、宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地に到着した。
基地の周りには、聖火の到着とアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」を見ようと多くの人が集まった。駐機場に隣接する一角だけでも1000人以上はいた。航空ファンの男性によると「航空祭並みの混雑だ」というが、航空祭と違うのは新型コロナウイルスを気にしてかマスク姿の人が大半を占めている点だ。
午前9時半過ぎに聖火を乗せた輸送機が東の空から現れると、「来た来た!」と歓声が上がり、手を振る人もいた。宮城県石巻市の小学2年、白鳥那奈さん(7)は「ギリシャから来たなんてすごい」と興奮した様子。津波で自宅が全壊したという母親(46)は「こういうイベントがあると本当に勇気づけられます。コロナの影響が心配ですが、何とか無事に大会が成功してほしい」と話した。仙台市から来た会社員の渡辺怜さん(22)と井出真奈美さん(23)も「テンションが上がりますね。今は暗い雰囲気もありますが、これで世の中が活性化すればいいですね」と期待を膨らませる。
基地周辺では北風が吹き荒れ、田畑からは土煙が舞い上がる。「ブルーインパルスは飛べるのかな」。飛行を待っている間、見物人からは不安の声も聞かれた。ただ駐機していた機体にエンジンがかかると、みなが一斉に立ち上がった。「飛ぶぞ」
埼玉県所沢市の小学生、中川明梨さん(11)と日香梨さん(8)姉妹は折り紙で作った五輪マークを高く掲げた。「聖火を出迎えるために作りました。ブルーインパルスからも見えるかな」。姉妹の父親は松島基地で勤務しているという。
午前11時過ぎ、6機のブルーインパルスが爆音とともに離陸した。厚い雲の隙間(すきま)から、青空が顔をのぞかせる。宮城県大崎市から来た無職、今野勇さん(75)は、1964年東京大会でブルーインパルスが空に五輪マークを描くところを東京で見た。「集団就職で東京に行き、職場から眺めました。高度成長期という時代とも重なって、とても感動したのを覚えています。今度の五輪には不安がありますね。コロナがどうなるか。もし中止になれば、経済も大変なことになるでしょう。なんとか成功してほしいのですが」
一方で90歳の母親を連れてきた仙台市の女性(64)は「五輪は楽しみですが、コロナや選手たちのことを考えれば延期した方がいいように思います」と話す。
午前11時40分ごろ、ブルーインパルスが急上昇を始めた。「いよいよだ」。スマホを構える人。カメラのシャッターを押す人。みな固唾(かたず)をのんで空を見上げる。しかし――。機体から出されるそばからカラースモークは風に流された。「あー」と、ため息。五つの円環は閉じられるや否や空と同化した。
「失敗かなあ。でも、こんな風だから、やっぱり成功かな」。宮城県石巻市の相沢武さん(11)はつぶやいた。相沢さんは同市で開かれる聖火の展示イベントに参加する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で中止になったという。「イベントの中止は残念だけど、オリンピックは楽しみ。野球で金メダルを取るところを見たいかな」
戻ってきたブルーインパルスが5色の線を引きながら、頭上を通過した。今度は大きな歓声と拍手が湧いた。
不安と期待が入り交じる中で日本は聖火を迎えた。26日に福島県から聖火リレーがスタートする。【川崎桂吾】
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2020-03-20 08:28:04Z
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