日本相撲協会は7日、先月9月26日の理事会で、付け人の序二段力士に対し暴行を振り、差別的発言を繰り返したため自主的な引退を促す決議をした西十両5枚目の貴ノ富士(22=千賀ノ浦)に関する、これまでの経過を公表した。

それによると、理事会翌日に都内の文部科学省で記者会見を開き、理事会決議を受け入れられず現役続行の意思を示した貴ノ富士側は、代理人弁護士と連絡を取り合うよう同協会側に要望があったという。その上で双方が日程をすり合わせ、10月3日に弁護士同席で貴ノ富士の意思確認の面談を行うことが決まった。

その面談に先立ち、弁護士側から同協会に対し、再発防止策について現状の考え方を回答するよう要望があった。面談予定前日の2日に協会側は要望書に答える形で、再発防止策などについて文書で回答。だが同日中に弁護士側から「要望書に対する回答になっていない」と翌3日の面談を断わり実現しなかった。

ただ弁護士側は、貴ノ富士の意向については、10月11日までに文書で回答する旨の連絡があったという。同協会側は「現在は11日までに送られてくるという文書を待っている状況」と静観の構えでいる。

またこの日、同協会広報部が発表した報告では、先月26日の理事会でのやりとり、その後の経過についても説明している。理事会では自主引退を促す決議を、八角理事長(元横綱北勝海)が念押しするように「自主的に引退することを受け入れるか、師匠にも相談して、しっかりと考えてください。その間は、師匠の支持で部屋での謹慎を続けてください」と確認。貴ノ富士は「はい」と答えたものの、27日以降、千賀ノ浦部屋に戻っておらず、30日以降は師匠からの電話にも出ない状況が続いているという。これについて芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「組織の一員として社会通念上、決まり事は守らなければならない」と述べた。

また貴ノ富士の意思を確認する目的で「30日午後2時に師匠と貴ノ富士がそろって協会へ来るように」と千賀ノ浦親方に前日の29日伝えた。だが貴ノ富士は同親方に携帯電話のショートメールで「弁護士が対応するから自分は行かない」旨の通知をしたため、その面談も実現には至らなかったという。担当する2人の弁護士から代理人受任通知などの文書が同協会へファクシミリで送られてきたのは、9月30日だったという。