国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が、20年東京オリンピック(五輪)のマラソンと競歩を札幌で開催する案について、強い意志を示していることが17日、大会関係者の話で分かった。9月末から10月頭にかけ、中東ドーハで行われた陸上世界選手権のマラソンで、高温多湿により棄権者が続出したことがきっかけ。選手の健康面を考慮し、IOC会長が決めた「札幌案」を覆すことは難しく、東京五輪のマラソンは札幌で開催される可能性が高まった。

札幌では毎年、北海道マラソンが開催されており一定程度の知見はある。新国立競技場を発着とした五輪のマラソンチケットは既に一部が販売されており、数万の観客を収容する必要があることから、札幌に変更した場合は、札幌ドームが発着地に検討されている。

関係者によると、IOCからの正式な提案は10月初めだったが、それ以前から「そんなに東京が暑ければ、札幌でやればいいのでは」と北海道の関係者から提案が挙がっていたという。ただ、ある大会関係者は「場所を変えたら相当準備が大変になる」と心配した。

今月30日から3日間、都内で行われるIOC調整委員会で、東京都、大会組織委員会などで協議する。マラソンは五輪の目玉競技だけに、都民に落胆の声が出始めた。世論の動向を見極めながら、調整委員会で結論を出す方向だ。

マラソンが開催地で実施されないとなれば、1896年アテネ五輪で始まった近代五輪32回目で初となる。